物語は19世紀末のドイツを舞台とし、性への無知と大人達の無理解がもたらす若者達の悲劇を描く。「Mama Who Bore Me」、「The Bitch of Living」、「Touch Me」、「Totally Fucked」、「The Song of Purple Summer」等々、劇中ナンバーはいずれも琴線に触れる秀曲揃い。サントラのCDや音源は各種サイトにて今でも購入できる。
『Caroline, or Change』3月13日プレビュー開始/4月7日開幕
2004年のトニー賞ノミネート作品の、2018年にロンドンで好評を得たリバイバル版。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2019-2020-season/caroline-or-change/
そんな中で行われるソロコンサートである。現時点で発表されているセットリストには、「I'm Here」や「Stand Up」といった彼女の持ち歌はもちろん、「Don't Cry for Me Argentina」(『エビータ』より)や「Don't Rain On My Parade」(『ファニー・ガール』より)といった往年のミュージカルソングから「クイーン・オブ・ソウル」の呼び名を持つアレサ・フランクリンの代表曲「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」まで、緩急織り交ぜた彩り豊かな選曲だ。シンガー、シンシア・エリヴォの真髄を存分に堪能できることだろう。
さらに今回、スペシャルゲストとしてマシュー・モリソンと三浦春馬が共演! モリソンはブレイクのきっかけとなったブロードウェイ・ミュージカル『ヘアスプレー』からのノリノリのナンバー「You Can't Stop the Beat」やシュー先生という当たり役を得たTVドラマ「glee/グリー」の人気曲「Don't Stop Believin'」を。対する三浦も出演作『キンキーブーツ』から感動のナンバー「Not My Father's Son」の英語歌唱や3月に出演を控える『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~』からの楽曲を披露するという。それぞれのソロはもちろん、デュエットや3人そろってのパフォーマンスなど1曲1曲、余すところなく楽しませてくれそうだ。
堀内 ちなみに舞台版では描き切れていない「"ジェリクルキャッツ"とは何なのか?」という問いの答えを、映画の最後の場面でオールドデュトロノミーが明かしてくれていると思います。もともと「jellicle」は原作者T・S・エリオットの造語で。彼の幼いめいっ子が猫を見るたびに「dear little cat(親愛なるちっちゃな猫)」と言っていたのが、「d」を「ジ」と発音する英語のなまりで「jellicle cat」と聞こえたことから来ているんです。オールドデュトロノミーがヴィクトリアを集団に招き入れる際に言う、「Now, You're a Jellicle Cat(これであなたもジェリクルキャットよ)」というセリフには、「我々はただのかわいい猫。そんなにえらいもんじゃない。誰だってこの一族になれるんだ」というメッセージが込められているんです。以前からずっと、舞台上で「jellicle」についてちゃんと説明すればいいのにって思っていたから、映画館では思わず、ニコニコ笑っちゃいました。
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オールドデュトロノミー(ジュディ・デンチ) (C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
【Profile】安倍寧(あべ やすし) 音楽評論家。1956年慶應義塾大学文学部仏文科卒業。同大在学中よりフリーランス・ライターのはしりとして、主として内外ポピュラー音楽、ショウ、レヴュウについて記事・批評の執筆活動をおこなってきた。一方、日本ゼネラルアーツ株式会社取締役として越路吹雪ロング・リサイタル、越路主演のミュージカルほかの立案・上演に、更には四季株式会社(劇団四季)取締役として企画・渉外に携わった。一方、1960~1990年年代には、日本レコード大賞審査委員・実行委員、東京音楽祭国内・国際両部門審査委員の立ち場から、音楽業界ウォッチャーの役割を果たす。また、2007年から2年間上演された『BLUEMAN GROUP IN TOKYO』ではエグゼクティブ・プロデューサーを務めた。著書多数。
同部門における他のノミネートアルバムは、「AIN'T TOO PROUD: THE LIFE AND TIMES OF THE TEMPTATIONS(エイント・トゥー・プラウド:テンプテイションズの人生と時間」「MOULIN ROUGE! THE MUSICAL(ムーラン・ルージュ)」「THE MUSIC OF HARRY POTTER AND THE CURSED CHILD - IN FOUR CONTEMPORARY SUITES(ハリー・ポッターと呪いの子)」「OKLAHOMA!(オクラホマ!)」だった。
『Caroline, or Change』秋に延期
2004年のトニー賞ノミネート作品の、2018年にロンドンで好評を得たリバイバル版。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2019-2020-season/caroline-or-change/
『Flying Over Sunset』秋に延期
3人の著名人がLSD(当時は合法)を使用していた事実を元にJ・ラパインが創作する新作。
https://www.lct.org/shows/flying-over-sunset/
そんなある日、下の階に住むSMクラブのダンサー・ミミが、1本のろうそくを手にロジャーの部屋を訪ねてくる。彼女はろうそくに火をつけてほしいと言うが、実はそれはただの口実。ロジャーの気を引きたいミミと、自殺した恋人のことが忘れられないロジャー。二人の恋の駆け引きが展開される「Light My Candle」は、細かい設定は違えどプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』の劇中シーンと酷似している。『RENT』は1830年頃のパリを舞台にした『ラ・ボエーム』を、1990年頃の荒廃したニューヨークに置き換えた作品でもあるのだ。
ところかわって、華やかな婚約パーティー会場へ。婚約したのは二人の女性。美貌と自信を持つパフォーマーのモーリーン(マークの元恋人)と、ハーバード大卒の弁護士ジョアンヌ。少々奔放過ぎる性格のモーリーンに振り回されるジョアンヌは、婚約パーティーの場でのモーリーンの振る舞いに腹を立て、ついにケンカが勃発。「Take Me Or Leave Me」と歌い上げながら二人とも一歩も譲らず、女同士の熾烈な戦いが繰り広げられる。
『RENT』の登場人物に共通するのは、一瞬一瞬を全力で生きているということだ。このことは、作品に込められた「No Day But Today(あるのは今日という日だけ)」というメッセージにも通ずる。本作は20年以上前に生まれた作品だが、そのメッセージは決して色褪せることなく、現代社会を生きる私たちの胸に強く響く。