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ブロードウェイ経験者多数! ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』来日ツアーキャスト発表

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不朽の名作『ピーターパン』が生まれるまでを描いたジョニー・デップ主演の映画『ネバーランド』が、米国で今最も注目を集める女性演出家の一人、ダイアン・パウルスの演出でミュージカル『ファインディング・ネバーランド』として舞台化される。2015年にブロードウェイで開幕して以来、観る者を魅了し続けている本公演は、今秋早くも初来日予定。実話をベースにしたこの感動作の主要キャストが決定した。

劇作家 J・M・バリ役には、トニー賞最優秀演出賞ほかに輝いたダイアン・パウルス演出の『ピピン』にも出演し、パウルスから「歌も上手いし、バリにぴったりだと思ったの」と絶大な信頼を得ているビリー・ハーリガン・タイ。その高い歌唱力と、日本人受けしそうな爽やかで端正なルックスはもちろん、深く繊細な表現力も大きな魅力だ。

バリと公園で出会い、心を通わせていくシルヴィア役は、『ウィキッド』のエルファバや、『RENT』のモーリーンなど、パンチの効いた役柄を得意としてきたクリスティン・ドワイヤー。しきたりを重んじるヴィクトリア朝時代の英国上流社会にありながら、自由な心で4人の息子達に愛を注ぐ女性を、キュートに生き生きと演じる。

バリの雇い主であるプロデューサー役と、バリの“心の声”ともいえるフック船長役は、かつて鈴木忠志に師事し、2015年には『CHICAGO』来日公演でビリー・フリン役を務めた、ダンディな長身の紳士、トム・ヒューイット。シルヴィアの厳格な母モーリエ夫人役は、ブロードウェイのベテラン女優カレン・マーフィーが演じる。

各キャストプロフィール

ビリー・ハーリガン・タイ

ビリー・ハーリガン・タイ

​J.M.バリ役/ビリー・ハーリガン・タイ(Billy Harrigan Tighe)
【出演作品】
ブロードウェイ/ウエストエンド公演:「ピピン」、「ブック・オブ・モルモン」、
アメリカツアー公演:「ブック・オブ・モルモン」、「ウィキッド」、「ラ・カージュ・オ・フィール」、「ダーティー・ダンシング」
地域公演:「バック・ホーム・アゲイン」、「ヘアスプレー」、「ハッピー・デイズ」、「フットルース」

シンシナティPOPS、ロングビーチ、インディアナポリスデトロイト、ヒューストン、トロント、バンクーバーなどの交響楽団との共演(歌のソリストとして)経験がある。
 

クリスティン・ドワイヤー

クリスティン・ドワイヤー

シルヴィア・ルウェイン・デイヴィス役/クリスティン・ドワイヤー(Christine Dwyer)
【出演作品】
ブロードウェイ公演:「ウィキッド」エルファバ役
ニューヨーク公演/アメリカツアー/地域公演:「レント」モーリーン役、「マーダー・バラッド」サラ役、「Tinyard Hill」アイリーン役、「New Hopeville Comics」エイプリル役、「フーズ・トミー」トミー役、「Two Very Dangerous People」ジニー役

Lyons & Pakcharのデビューアルバム 『#LOVE(Live)』とベン・ローズベリーのソロデビューアルバム『The Fractured Years』の収録に参加し、どちらもiTunesで視聴可能。アメリカを代表してハノーファー・メッセに出演し、オバマ大統領(当時)、アンゲラ・メルケルの前で披露をしたこともある。
 

トム・ヒューイット

トム・ヒューイット

チャールズ・フローマン役・フック船長役/トム・ヒューイット (Tom Hewitt)
【出演作品】
ブロードウェイ:「Amazing Grace」、「ドクトル・ジバゴ」、「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「CHICAGO」、「DRACULA」、「ロッキー・ホラー・ショー」(トニー賞、ドラマデスク賞ノミネート)、「ライオンキング」
ツアー:「ユーリンタウン」、「ペテン師と詐欺師」、「ピーターパン」
オフブロードウェイ:「Another Medea」、「Treasure Island」、「Jeffery」、「Beau Jest」(アウター・クリティックス・サークル賞ノミネート)、地方劇場:「Irma Vep」、「スパマロット」、「Yoshimi Battles the Pink Robots」、「Travesties」
映像:「ロー&オーダー」、「オール・マイ・チルドレン」、「フールズ・ファイア」

劇団SCOT (Suzuki Company of Toga)のメンバーとして日本、ヨーロッパ、アメリカ各地を公演して回った経験を持つ。2015年12月、「CHICAGO」ビリー・フリン役@東急シアターオーブ、大阪梅田芸術劇場公演で来日。

カレン・マーフィー

カレン・マーフィー

デュ・モーリエ夫人役/カレン・マーフィー (Karen Murphy)
【出演作品】
ブロードウェイ:「リトル・ナイト・ミュージック」「クリスマス・キャロル」、「9 to 5」、「オール・シューク・アップ」、「King David」、「タイタニック」、「42nd ストリート」、ニューヨークシティオペラ「Most Happy Fella」、オフ・ブロードウェイミュージカル「Zombie Prom」「マイ・ヴォードヴィル・マン」「Forbidden Broadway」「Hysterical Blindness.」
アメリカツアー公演:「レ・ミゼラブル」「ホワイト・クリスマス」「オズの魔法使い」「メリー・ポピンズ」。「Zombie Prom」「マイ・ヴォードヴィル・マン」

ブロードウェイのベテラン女優。自身初のソロアルバム『Torch Goddess』でCDデビューもしている。アメリカ国内、カナダのオーケストラとも共演。米国俳優協会のメンバー。

来日ツアーキャスト 舞台写真 (C)Jeremy Daniel

来日ツアーキャスト 舞台写真 (C)Jeremy Daniel

上記のキャストに加え、少年ピーターをはじめとする子役4人ほか、個性が光るキャストがこの後も参入する。華と実力を兼ね備えた多彩かつ魅力的な布陣で織り上げる、家族愛や本当の自分を取り戻す勇気、そして想像することの素晴らしさに満ちた感動作に、乞うご期待!

公演情報
ブロードウェイミュージカル「ファインディング・ネバーランド」
日時:2017年9月8日(金)~9月24日(日)
会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)

チケット:S席 13,000円 A席 11,000円 B席 9,000円 プレミアム席 15,000円(全席指定・税込)
※プレミアム席は1階席1列~13列の中央ブロック、2階席の前方席及び一部バルコニー席/公演プログラム1冊付。

作詞・作曲:ゲイリー・バーロウ、エリオット・ケネディ
脚本:ジェームズ・グラハム
演出:ダイアン・パウルス
振付:ミア・マイケルズ
主催:フジテレビジョン/キョードー東京/ホリプロ

公式サイト:http://theatre-orb.com/lineup/17_fnl


 

本邦初演『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』出演の 福井晶一・原田優一、演出の板垣恭一にインタビュー

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福井晶一原田優一。『レ・ミゼラブル』をはじめ数多くの人気ミュージカルで主要な役を務めてきた二人のミュージカル俳優が、3月17日から開幕する、NYオフ・ブロードウェイ発のミニマムな二人ミュージカルに挑む。タイトルは『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』。出演者は福井と原田とピアノ奏者のみ。小道具は主に帽子、帽子、帽子…。これまでアメリカ、イギリス、フィンランド、オーストラリア、韓国、フランスで上演され、各国で称賛を浴びてきたミュージカル・コメディの日本初演である。その稽古場にお邪魔して、福井、原田、そして今回の訳詞・日本語上演台本・演出を手掛ける板垣恭一から話を聞いた。

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』稽古風景 キャッチーな音楽にのせて優雅に舞う

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』稽古風景 キャッチーな音楽にのせて優雅に舞う

■帽子の数だけ役がある

--このたび日本初演となる『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』は、そもそもどんなミュージカルなのですか?

板垣 この作品は二重構造になっていて、ひとつめの階層では、福井さんの演じるダグという男が或るミュージカルの台本を書き、原田さん演じるバドがその作曲をする。彼らは、自分たちの作ったミュージカルをブロードウェイで上演させたいと考えます。そこで有力プロデューサーや劇場主たちを招き、「バッカーズ・オーディション」と呼ばれるプレゼンテーション(試演)をおこなって、出資者を募ろうとします。その劇中ミュージカルの名前も『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』なんです。

で、その劇中ミュージカルの中身が、もうひとつの階層になります。俳優を雇えないダグとバドは、彼らたった二人だけで沢山の役を演じていきます。そして、彼らがいま誰を演じているのかを観客にわからせるために、役名の書かれた帽子を次々に被り替えていきます。歌の途中であっても役をどんどん切り替えていくので、かなり激しい状況になっていきます。それでも最後には、ちょっとした物語的なファンタジーが入ってきて、もしかすると感動的な結末を迎えるかも?……といった感じですね。

役名の記された帽子(一部)

役名の記された帽子(一部)

--グーテンバーグ、すなわちドイツ語だとグーテンベルクですが、劇中劇では活版印刷の発明者である彼の伝記が綴られていくのですか。

板垣 劇中でも語られるのですが、実はググってもウィキペディアを調べても、グーテンベルクの詳しい人物史はそれほど出てこないんです。不明な部分が多い。そこでダグとバドが「だったら俺たちで作っちゃおうぜ」と、架空の物語を仕立て上げるんです。

演出中の板垣恭一

演出中の板垣恭一

--そんな風変わりで複雑なミュージカルに出演される俳優さんお二人は、今どんな気持ちなのですか。

福井 とにかくやることが沢山ありすぎて、稽古の最初の頃は、それを頭に詰め込むことで精一杯でしたね。でも板垣さんが「役者が大変な分だけ、お客さんが楽しんでくれる」と言ってくれたことが励みになりました。本番が近付き、頭の中で整理ができてくるようになると、自分たちもすごく楽しくなってきた。それはお客さまにも伝わるんじゃないかと思います。

福井晶一

福井晶一

原田 ​帽子を被り替えるといった段取りの多さも大変ですが、演じるキャラクターも、僕だったらバドと劇中劇の登場人物たちとの間や、劇中劇の人物たち同士の間を、瞬時に行き来して、演じ分けをしなければいけません。そこがこの劇の見せどころでもありますから、非常に神経を使います。キャラクター設定の変化をつけようとするあまり、理想の高いところにキャラ設定をしてしまうと、いま自分が誰をやっているのか迷子になってしまうこともあります。ただ、そういうところも、お客様から見れば、面白がっていただける要素なのかもしれません。

--お二人がそれぞれ演じる役の数は、どのくらいありますか。帽子の数の分ですか。

板垣 全体の役自体は20くらいかな。ただ、そのうち3分の2くらいは二人の間で行き来して演じられるんです。

福井 そう。一つの同じ役を、二人で入れ替わったりすることが多い。

原田 一人あたり10以上の役は、やってます。

板垣 考えると心が折れるから、ちゃんと数えたことはないよね(一同笑)。

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』稽古風景 軽快な音楽で踊る

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』稽古風景 軽快な音楽で踊る

■ミュージカルへの愛とツッコミに溢れたブラック・コメディ

--演じるうえでは非常に大変そうな作品ですが、皆さんが「ここは面白い」と思う点は何ですか。

板垣 お客様は、この作品の二重構造を通して、設定上は役者ではない普通の人が「演技」をする瞬間に立ち会えます。「演技」だけではなく、“何でもない人が「演技」をする”ということ自体を見学することができる。実はそれも福井さんと原田さんという役者による「演技」ではあるのですが。ともあれ、不思議な気分を味わえます。そこでは、「演技」とは何か、ということも問われているのだろうと思います。

原田 ​僕らが普段、舞台の上で演じるということは、お客様のオーディションを受けているようなもので、その意味では、この作品に出てくる「バッカーズ・オーディション」は僕らの日々の生活そのものであるとも思えるんです。だからお客様はこの舞台を観て、普段は意識していないであろうミュージカルの成り立ちとか、僕らの仕事っぷりといったものを確認していただけるのではないでしょうか。

原田優一

原田優一

福井 そういうことも含めて、帝国劇場などの日比谷界隈に通っていらっしゃるようなミュージカル好きな人、コアなミュージカル・ファンには、すごく楽しめる内容になっていますね。日本のお客様にも共感できるようにと、板垣さんが随所を書き換えてくれていることもあり、もし自分が客席にいたら大笑いするだろうな、という面白さに溢れています。

板垣 オリジナルの台本にはブラック・ジョークが沢山入っているのですが、元のままだと文化的背景の違いで日本人にピンと来ないんです。そこは大胆に、日本人が笑えるネタにかえさせていただいてます。それから、セリフや歌詞も翻訳の正確さを尊重すると、どうしてもテンポが悪くなってしまう。そこはテンポの良さを優先する方向でアレンジしました。

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』稽古風景

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』稽古風景

--ミュージカルについてのミュージカルですから、ミュージカル絡みのブラックな笑いも多いのでしょうね。

原田 ​僕らが普段ミュージカルをやっていて、言いたくても言えないことを、役を通して言えるんですよ(笑)。

福井 役で言ってるのか素で言ってるのかが、わからない(笑)。

板垣 いや、そこは、あくまで役で、ですよね(笑)。劇中のキャラクターが言ってる。

福井 (何かを察したかのように)あ、はい、そうですね。役です(笑)。

原田 ​そういう形でミュージカルにもの申しながらも、同時に、ミュージカルを称える作品、ミュージカル愛に溢れる作品でもあるんです。

板垣 そう。愛とツッコミに溢れたブラック・コメディですね。ブラック・コメディだから、ちょっとアブない橋を渡らないと面白さは出てこない。ツッコミの部分では、日比谷界隈やあざみ野(※某大手劇団の所在地)界隈の業界の人に、ウケるかもしれないし……怒られるかもしれない(笑)。そういう危険なところを役者の二人には渡ってもらいますけど、最後には愛のあるところに結実して、感動的に終わるかもしれないのです。

訳詞・日本語上演台本・演出の板垣恭一

訳詞・日本語上演台本・演出の板垣恭一

■小さな空間でホンモノに触れあえる

--こういうタイプのミュージカルに福井さんが出演するのはとても新鮮です。

福井 僕は“あざみ野代表”的といいますか(笑)、ミュージカルの王道のようなところで色々やらせていただいてきてますから、こういうブラック・コメディの経験はほとんどありません。しかも、大久保のR'sアートコートという小規模な空間というのも、芝居で出演するのは初めてで。

板垣 福井さんにとっては、これが小劇場デビュー。福井さんを間近で観られるのは、お客さんにとっても嬉しいはずですよ。

福井 いろいろな発見が多いんです。自分でもわからなかった部分を板垣さんや原田さんに引き出してもらったりして。細かい段取りを憶えるのは大変ですけど、やっていて本当に楽しいです。

--その一方、原田さんは、オフブロードウェイのような小劇場でのミュージカルに以前から積極的に係わってきてますよね。

原田 ​自主企画などで小劇場での公演をやるようになり、その魅力に憑りつかれてます。もちろん、大劇場のグランド・ミュージカルも大好きですよ。でも小劇場はやはり、ひとつの時間と空間をお客様と共有している感覚が好きなんです。

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』稽古風景

『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』稽古風景

--その小劇場公演に、『レ・ミゼラブル』など有名舞台で大役を務めているお二人が挑むことも意義深いですよね。

板垣 そうなんですよ。ホンモノさんが演じている(笑)。

福井 ホンモノさん、て……(笑)。

原田 ​大作ミュージカルで大きな役をやっていてよかった~。『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』に出ていて本当によかった~(笑)。

--では最後に読者の皆様に向けて、勧誘のメッセージをお願いします。

福井 大久保の小さな空間で、お客様と一緒に作品を創り上げていきたいという気持ちです。そして日本初演の舞台ですから、作品の誕生する瞬間をぜひ見届けていただきたいですね。沢山の人に観に来ていただけると嬉しいです。

原田 ​オーケストラピットがあるわけでもない小劇場のミュージカルって、舞台と客席の間に垣根がなく、本当に役者とお客様との距離が近いですよね。だから劇の進展だってお客様次第といってもいいほどです。僕らが舞台で提案するものを、お客様から返してくださるような、気楽な感覚で観に来ていただけたらと思います。

板垣 この舞台を作るにあたって標語として掲げたのが「大人が真剣にふざける」。お客様にはそんな光景をぜひ楽しんでいただきたいですね。会場の事情で実際は許されないけれど、理想としてはビールを飲みながら、「んなことあるかい!」なんて野次を飛ばすのもOKみたいな、そんなテイストの芝居を目指してます。「一緒に遊ぼうぜ」「一緒にふざけようぜ」というくらいの気軽な気持ちで来ていただけたら、と。そして、もし周囲にミュージカルを観たことがないという人がいたら、ぜひ連れてきていただきたいですね。こんな敷居の低い、ふざけたミュージカルもあるんだと。仮にミュージカルが嫌いな人でも、その嫌いな理由によって、面白がれる内容になっていますしね(笑)。

(左から)原田優一、板垣恭一、福井晶一

(左から)原田優一、板垣恭一、福井晶一

取材・文・写真撮影:安藤光夫

「一緒に遊ぼうぜ」の精神で、自ら持参してきたグーテンベルク帽を被る筆者も加わっての記念撮影

「一緒に遊ぼうぜ」の精神で、自ら持参してきたグーテンベルク帽を被る筆者も加わっての記念撮影

公演情報
『グーテンバーグ!​ザ・ミュージカル!』
 
■日程:2017年3月17日(金)~3月20日(月・祝)
■会場:新大久保・Rʼs アートコート(労音大久保会館/東京都新宿区大久保 1-9-10 TEL03-5273-0806)
 
■訳詞・日本語上演台本・演出:板垣恭一
■出演:福井晶一・原田優一
■音楽監督・ピアノ:桑原まこ
 
■原作:アンソニー・キング(Anthony King)&スコット・ブラウン(Scott Brown)
■翻訳:工藤紅
■振付:当銀大輔
■演出助手・美術・舞台監督:小形知巳
■照明:中村嘉雄
■音響:高木佳未
■制作:鈴木里咲
■アシスタント・プロデューサー:杉本宏、岡田徹也
■プロデューサー:坂紀史、宋元燮
■企画・製作・主催:株式会社ショウビズ、conSept
■公式サイト:http://www.gutenberg-jp.com/

ケリー・オハラ&マシュー・モリソンの歌声に、井上芳雄「ブロードウェイの風が吹き抜けるよう」『トニー賞コンサートin TOKYO』会見

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世界最高峰の演劇賞、トニー賞公認によるミュージカル・コンサート『トニー賞コンサート in TOKYO』が、3月18日(土)に東京国際フォーラムにて上演される。そして、その模様が開局25周年を迎えたWOWOWで生中継されることとなった。これに先駆けて16日(木)都内で会見が行われ、ケリー・オハラマシュー・モリソン井上芳雄濱田めぐみが出席した。

ケリーは、2015年にブロードウェイミュージカル『王様と私』で第69回トニー賞ミュージカル主演女優賞を受賞。渡辺謙が王様役を演じたことでも話題となった作品だ。マシューは、日本でも放送され大ヒットしたミュージカルドラマ『glee』のシュー先生こと、ウィル・シュースター役で人気を博し、こちらもミュージカル『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』で第59回トニー賞ミュージカル助演男優賞にノミネート。

ケリーとマシューは共に初来日。ケリーは来日早々、築地や寺社など観光し「日本は本当に細かいところまで行き届いていて、文化そのものに完全に魅了されています。お寿司もお刺身も天ぷらも食べましたが、あとまだ(日本に)3日いられるので、その間に食べられるものは食べつくしていきたい!」と笑顔。

ケリー・オハラ

ケリー・オハラ

マシューは妻と京都を数日間訪れ「着物を着てみたり、伏見稲荷を見学したり、街の中をたくさん観光した。日本は豊かな歴史があり、人々も文化もすばらしい国。きめ細やかで、心が行き届いたものが多い。建物に入っても物の配置などが完璧に考えられているんだなと感心した」とコメント。ケリー同様、日本食について問われると「焼き鳥はおいしかったね! あとは寿司、刺身……そして今まさに(稽古場用の)お弁当をいただきました!」と笑わせた。

マシュー・モリソン

マシュー・モリソン

井上と濱田の印象について、ケリーが「初めてお会いした印象はわっ!』と驚くくらい美しいお二人だった。(井上がこの発言で『OH…』とリアクション)その後、話をしたり一緒に歌わせてもらうと、彼らの声や歌い方が本当に美しくあたたかくて、見た目の美しさと内面の美しさがマッチする方々だと感じた」と言えば、「僕はすでにめぐみさんに恋をしてしまいました。そして芳雄さんにはライバル心を感じています」というマシュー。隣にいる井上を肘でグイグイこづき、突然の戦闘態勢。これには井上がたまらず笑いだしていた。

マシューが井上をグイグイ

マシューが井上をグイグイ

井上、抵抗できず(笑)

井上、抵抗できず(笑)

逆にケリーとマシューに対する印象について、井上は「『本物がきた!』と思いました。別に疑っていた訳ではないし、そっくりさんが来る訳がないとも思いましたが(この発言を聴いてマシューが笑いだす)、特に一緒に歌うとわかる(通じる)ことが多くて、これから一緒にコンサートができるんだという実感がわいてきました」 濱田は「昨夜から緊張していたんですが、お会いしたらあたたかくて一気に打ち解けました。コンサートが楽しみです」と喜びを表した。

井上芳雄

井上芳雄

濱田めぐみ

濱田めぐみ

まもなくコンサート本番。井上は「ケリーとマシューがちょっと稽古をしているだけで、ブロードウェイの風が、タイムズスクエアの風が吹き抜けるようだった。それをお客さまに感じていただきたいですね。僕らも日比谷の風を……ちょっと小さいけど(笑)吹かせてコラボレーションしたい。日本にもトニー賞のような演劇の大きな賞ができることを願っていたので、その足掛かりとなるコンサートになれば」と意気込む。濱田も「舞台と音楽を通じて世界は一つ、言葉が通じなくても愛で包まれていることを表現したい」と語った。

井上芳雄、濱田めぐみ

井上芳雄、濱田めぐみ

コンサートの生中継について話が及ぶと、井上は濱田に向かって「自分の舞台が生中継されたこと、あります?」と訊くと、濱田が「ある訳ないじゃないですか!」と即レス。「僕たちはひっそりと劇場でやっているのが生業なのですが、それを生中継しちゃうというのも目玉。生なので歌詞を間違えたり、尺がはみ出て途中でブツッと切れるかもしれませんが(笑)、そういうのも含めて生のおもしろさを体感していただきたい。なので、今からWOWOWに加入していただいて一緒に『生』を感じてほしい」とPRする井上だった。

また、ケリーからは気になる発言が!「『王様と私』のナンバーは披露すると思います。NYにも日本からたくさんのお客様が駆けつけて喜んでくださいました……もしかしたら東京に(『王様と私』の公演が)来るかもね!」この発言に思わずマスコミがざわつく一幕も。

会見の後半ではケリーとマシューが初めてブロードウェイで共演した『ライト・イン・ピアッツア』から『Say It Somehow』を披露。

記念撮影の前に、井上と濱田から名前入りの提灯が二人にプレゼントされると、提灯の造りや書かれている文字に興味津々の二人。マシューは「今回のミッションは自分の名前を日本語で書けるようになること。明日までに練習します」と語り最後まで笑わせていた。

濱田さんが提灯の文字を指さし「マシュー・モリソン」という日本語を教えていました

濱田さんが提灯の文字を指さし「マシュー・モリソン」という日本語を教えていました

公演情報
『トニー賞 コンサート in TOKYO』
 
■日程:2017年3月18日(土)開場:17:00/開演:18:00
■会場:東京国際フォーラム ホールA
■主催・制作:WOWOW
■出演:ケリー・オハラ、マシュー・モリソン、井上芳雄

WOWOW 生中継!「トニー賞 コンサート in TOKYO」
出演:ケリー・オハラ、マシュー・モリソン、井上芳雄
2017年3月18日(土)WOWOWプライム
http://www.wowow.co.jp/stage/tonyconcert/

ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』稽古場レポート

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初演から50年が経つ今もなお、世界中で愛され続けているブロードウェイミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が4月9日(日)からシアタークリエにて上演される。

チャールズ・M・シュルツによる4コマ漫画『ピーナッツ』の世界が再現された本作は、個性豊かなキャラクターたちが登場。チャーリー・ブラウン役を村井良大、ルーシー役を高垣彩陽、サリー役を田野優花(AKB48)、ライナス役を古田一紀、シュローダー役を東山光明、スヌーピー役を中川晃教が務める。

公演に先駆けて都内で公開稽古が行われ、倍率20倍の中から選ばれたオーディエンス30名を前に3曲が披露された。

深いテーマが隠されたダンスナンバー

「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」より。

「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」より。

「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」より。

「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」より。

本作のタイトルにもなっている「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」は、冒頭を彩る明るいダンスナンバー。何をやってもダメなチャーリーは、いつものようにスクールバスに乗り遅れそうになる。そんな彼を珍しく仲間たちが褒め称える1曲。公開稽古の直前まで練習をしていた出来たてほやほやの楽曲とのことだが、6人全員が元気いっぱいに歌と踊りを披露した。「この曲には実は深いテーマが隠されています。最後にチャーリーの美しさを理解できる伏線となっているナンバーです」という演出家・小林香の言葉に期待が高まる。

この楽曲も含め、ダンスが多いという本作。今回、6人の中で自他ともにダンスリーダーと認める田野は、「みんな想像以上に聞いてきますね(笑)。でも楽しいので教えちゃいます」とにっこり。この日の場当たりもみんなに教えたそうだ。

シュローダーのベートーベン愛が爆発!

「ベートーベン・デイ」より。ベートーベンへの思いを熱く歌うシュローダー(東山光明)。

「ベートーベン・デイ」より。ベートーベンへの思いを熱く歌うシュローダー(東山光明)。

続いて、天才ピアニストのシュローダーが敬愛するベートーベンの誕生日を祝日にしようと思い立つシーン。ベートーベンの楽曲のフレーズも織り交ぜられた「ベートーベン・デイ」は、シュローダーがソロを力強く歌い、ベートーベンへの愛にあふれた情熱的なナンバーだ。

東山は「シュローダーは、一見、落ち着いていて外からみんなを見ているようだけど、音楽、特にベートーベンに関しては急に情熱的になるところがあるキャラクター。静と動がある。さらに稽古を積んで、もっともっと熱い『ベートーベン・デイ』をお届けしたいです」と意気込みを見せた。

本作の中でも代表的なビッグナンバー

中川晃教演じるスヌーピーが歌う、ビッグナンバー「サパータイム」より。

中川晃教演じるスヌーピーが歌う、ビッグナンバー「サパータイム」より。

夕食の時間が大好きなスヌーピーが歌うビッグナンバー「サパータイム」は、この日は歌のみの披露に。本番では「踊りまくり」という、最高に盛り上がるナンバーになるそうだ。

「スヌーピーは、飼い主であるチャーリーをどこかシニカルに見ている。それを行動や感情で示していて、ただの犬ではない人間味を感じます」と、スヌーピーの魅力を語る中川。

中川は犬のような唸り声も交えつつ、夕食の時間がきた喜びを全身を震わせながら歌で表現した。チャーリーとの温度差も見どころだ。

6人6色で魅せる『ピーナッツ』の世界

ブロードウェイミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」公開稽古より。

ブロードウェイミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」公開稽古より。

「ベートーベン・デイ」や「サパータイム」の他にも、各キャラクターの見せ場となるナンバーがあるという。

チャーリー・ブラウン役の村井は「それぞれのキャラクターの性格に合ったナンバーがたくさんあり、『ピーナッツ』の世界観を存分に楽しめます。『明日、また頑張ろう』という生きる喜びやパワーがもらえるミュージカルです」とアピール。自身の役どころについては「普通の子代表みたいなキャラクター。でも、この“普通”っていうのが難しいんです。一度、チャーリーの顔を描いてみたんですけど、全然シュルツさんのようなタッチが出なくて……。すごくシンプルな故に難しい」とチャーリーの役作りの難しさを原作の絵に重ねた。

チャーリーの妹・サリー役の田野も「サリーは喜怒哀楽の激しい女の子。すんなり役に入っていけると思っていたんですが、意外と自分は落ち着いていたみたいで……。色々と勉強中です」と苦労している様子だが、「でも、そこが上手くハマったら素敵なサリーを演じられると思います」と自信をのぞかせた。

それぞれの役を模索中だというライナス役の古田とルーシー役の高垣。古田は「ライナスは知識があって哲学的な部分もあるけど、誰よりも子どもらしい部分もある。そこが可愛らしくて魅力だなと思います」と自身のライナス像を語り、高垣は「愛するシュローダーにつれなくされても、どうにかこうにかポジティブに前進していく彼女の前向きさを見習って頑張っていきたいです」と笑顔で意気込みを語った。

中川は「現実的にみんながそれぞれのキャラクターそのものなんですよ。ドンピシャなキャスティング。スヌーピー役の僕が言うのもなんですけど(笑)」と会場を笑わせつつも、「僕たちのチームワークと作品の持つ普遍性が劇場でカチッとハマった瞬間、きっと最高の時間をお届けできると思います」と語り、確信に満ちた表情を見せた。

ブロードウェイミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』は、4月9日(日)から25日(火)までシアタークリエにて上演。

取材・文・撮影:岩本恵美

公演情報
BROADWAY MUSICAL 「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」
 
■日程・会場

2017年4月9日(日)~4月25日(火)
シアタークリエ (東京都)
 
2017年4月29日(土)
キャナルシティ劇場(福岡県)
 
2017年5月6日(土)~5月7日(日)
サンケイホールブリーゼ (大阪府)

2017年5月9日(火)~5月10日(水)
日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール (愛知県)

 
■出演
チャーリー・ブラウン:村井良大 
ルーシー:高垣彩陽 
サリー:田野優花(AKB48) 
ライナス:古田一紀 
シュローダー:東山光明 
スヌーピー:中川晃教 
声の出演:大和悠河
 
原作:チャールズ・M・シュルツ著 コミック『ピーナッツ』より 
脚本・音楽・詞:クラーク・ゲスナー
追加脚本:マイケル・メイヤー
追加音楽・詞:アンドリュー・リッパ
訳詞・演出:小林香
 

WOWOW「トニー賞コンサート」東京でブロードウェイの風が吹く、ミュージカル愛が伝わる一夜限りの“春の夜の夢”

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6月15日(木)19:30 WOWOWライブで再び放送決定

3月18日(土)東京国際フォーラム・ホールAにて行われたWOWOW開局25周年記念「トニー賞コンサートin Tokyo」。約5000人入る会場は、 びっしりと埋め尽くされ、満席。世界最高峰の演劇賞、トニー賞が70年の歴史の中で初めて日本で“公認”したコンサートであり、ブロードウェイから来日したゲストも本気度が違う。

「王様と私」でトニー賞ミュージカル主演女優賞受賞したブロードウェイ最高の歌姫ケリー・オハラと、「glee/グリー」のウィル・シュースター役で一躍世界的スターになったマシュー・モリソンが初来日。主演をすればチケットが完売する人気、実力共にトップクラスのスターがそろう貴重な機会だ。そして、日本ミュージカル界のプリンス井上芳雄と、数々の名作ミュージカルでヒロインを演じる濱田めぐみが出演。 日米のトップスターが夢のコラボレーションで、一夜限りの“春の夜の夢”を見せてくれる。 

そして、いよいよ幕が開く。まず、井上芳雄が登場し「キャバレー」の“Willkommen”で観客を出迎える。このナンバーは、同作品のMC役が客を夢の世界へ誘う曲として有名。井上はMC役さながらの軽快なトークと「ようこそ、 悩みなんてどこかに捨てちゃえ」という歌で、観客をミュージカルの世界へと引き込んでいく。そこから一気にブロードウェイの風が吹き込む。

井上芳雄

井上芳雄

マシューが、軽快なダンスと歌で観客を沸かせれば、ケリーが美しいソプラノでしっとり美しい時間へと誘う。「雨に唄えば」、「マイ・フェア・レディ」、「レ・ミゼラブル」、「グリース」、「ヘアスプレー」、「サウンド・オブ・ミュージック」などなど、言葉を超え4人のスターが名作ミュージカルのナンバーを全30曲、惜しみなく披露してくれる。さらにマシューは「glee/グリー」から、ケリーは渡辺謙と共演した「王様と私」から特別な曲を歌い上げてくれる。

マシュー・モリソン

マシュー・モリソン

ケリー・オハラ

ケリー・オハラ

悲しみや喜び、幸せや人生の大切なことを歌にのせ、1曲ワンシーンを演じ、世界を作り出してくれる4人のスターたち。それは童話集のように大切な寓話が詰まったようなひと時であり、彼らが語り部となってミュージカルの魅力を全身全霊で伝えてくれる。もっとミュージカルの魅力を知ってほしい、そんな熱い思いがこもった春の夜の夢。ミュージカル・ファンはもちろん、今までミュージカルにあまり馴染みがなかった人にもぜひ、観てほしいコンサートだ。「この歌、 ミュージカルの歌だったんだ!」という発見があるはず!

濱田めぐみ

濱田めぐみ

濱田めぐみ、マシュー・モリソン

濱田めぐみ、マシュー・モリソン

生中継を見逃してしまった方は、 6/15(木)よる7:30 WOWOWライブで再放送あり!

ケリー・オハラ、 マシュー・モリソン

ケリー・オハラ、 マシュー・モリソン

ケリー・オハラ、井上芳雄

ケリー・オハラ、井上芳雄

放送情報
「トニー賞コンサート in TOKYO」
■放送日時:4月27日(木)夜8:00
■放送チャンネル:WOWOWライブ
■出演:ケリー・オハラ、 マシュー・モリソン、 井上芳雄、 濱田めぐみ
■公演会場:東京国際フォーラム ホールA
http://www.wowow.co.jp/stage/tonyconcert/


★「トニー賞コンサート in TOKYO」6/15(木)よる7:30 WOWOWライブで再放送!

【THE MUSICAL LOVERS】 ミュージカル『アニー』 [連載第3回] アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(後編)

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【THE MUSICAL LOVERS】
 Season 2 ミュージカル『アニー』

 【第3回】 アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(後編)

前回はこちら

■『ライフ・アフター・トゥモロー』 ~しくじりアニーズ~

ミュージカル『アニー』への出演。それは10歳そこそこで、世界的に有名なミュージカルにかかわる幸運を味わえるということだ。

そんな、かつてアニーや孤児を演じた子どもたちが、『アニー』出演の後に、どのような人生を辿ったかを追跡したドキュメンタリー映画がある。2006年に製作された『ライフ・アフター・トゥモロー(Life After Tomorrow)』だ。DVD化もされている。

『ライフ・アフター・トゥモロー(Life After Tomorrow)』DVD

『ライフ・アフター・トゥモロー(Life After Tomorrow)』DVD

この映画には、1977年ブロードウェイ初演以降の『アニー』(米国内ツアーを含む)に出演した歴代のタイトル・ロールや孤児役たち、大人キャストたち、そして『アニー』の作詞および初演・1997年リバイバル版の演出を手掛けたマーティン・チャーニンなどスタッフたち、さらに「アニー大ファンおじさん」らが登場。1978年~80年にアニーを演じた女優のサラ・ジェシカ・パーカーも出演している。

一番印象的なのは、ちょこちょこ入り込んでくる「アニー大ファンおじさん」ジョン・メリル。 1983年から1998年まで「アニーファンクラブ」を運営し、「Annie People」という会報紙を発行。1990年までに『アニー』に100回通ったことで表彰されたそうだ。

一番印象的なのは、ちょこちょこ入り込んでくる「アニー大ファンおじさん」ジョン・メリル。 1983年から1998年まで「アニーファンクラブ」を運営し、「Annie People」という会報紙を発行。1990年までに『アニー』に100回通ったことで表彰されたそうだ。

公演によっては大々的にプロモーションを行なう場合もあり、その時の孤児役たちは、ホワイトハウス、カーネギーホール、ラジオシティなどで歌うこともあった。その姿に「アメリカの子どもたちは皆"アニーになりたい"と言っている」なんていう大げさな表現まで出てくる。

「スペシャルな子」としてファンからサインを求められるなど、成功の味を覚えた子どもたちはちょっとしたセレブリティ気取りだ。ただし、週に8ステージをこなさねばならないし、さらに米国内ツアー・キャストともなれば毎日違う場所で勉強もしなくてはならない。これはサーカスさながらの生活だったと語る経験者もいる。

『アニー』出演の子どもにつきっきりになってしまい他のきょうだいの世話がおろそかになる家、お金が入ったことで生活が一変した家もあったそうだ。自分や家族のあり方を変えてしまう、10歳そこそこでの成功。それなのに成長したらその瞬間に「お疲れ様」の一言でお払い箱となる……。

サラ・ジェシカ・パーカーのように後年有名になる人もいる。その一方で、「『アニー』が恋しい」と過去の栄光にすがって涙する人、さらに「私の人生は10歳がピークだけど、ピークにすら達していなかった気がする」と欲求不満をもらす人もいる。

「仮に10歳が人生のピークでも、『アニー』に出られたのなら、それで充分ではないか!」と筆者などは思ってしまうが、もし本当に人生のピークが10歳だったら、以後は「It's The Hard-knock Life」なのかもしれない。そう考えると、この映画は、子どもをショービジネスの世界に参加させることについて問題提起を行なっているともいえる。

「まだ振付覚えているわよ~!」とばかりに側転を披露し、ピアノの前に集まる、大人になった元孤児たち。彼女らの『アニー』時代の映像も挿入され、往時と現在の違いがはっきり画面に映し出される様は、ちょっと残酷だ。

ラストでは、元孤児たちが「Tomorrow」を一節ずつメドレー形式で歌っていく。映画の中で一番『アニー』を恋しがっていた黒髪の元孤児は、自分の子どもを膝にのせて歌っている。その子のルックスが赤毛でもじゃもじゃ頭……そう、完全にアニーなのだ。

エンドロールでは、『アニー』を引きずる元孤児役のおばさんたちによる、「It's The Hard-knock Life」での床磨きダンス&ソングからの、「Fully Dressed」のダンス&ソング。その貫禄ある姿に人生を感じすぎて、涙なしには見られなかった……。

前回 、リラ・クロフォード(2012~14年アニー役)に「どうしたらアニーになれるか」と聞いていた大人びた少女、そして今回の『アニー』の服を着ている「アニーおじさん」ジョン・メリル、そして、いつまでも『アニー』の喪失感を引きずる元孤児たち。彼ら「しくじりアニーズ」(と、あえて呼ばせていただく)を見てきたが、「アニーになりたい」などといまだに思ってる42歳の筆者自身を振り返ってみるに、けっして彼らをどうこう言える立場ではないことに今更ながら気付かされる。「『アニー』の服を着ている自分も、他人からこう見えているということなのか!」と、わかった次第だ。

いや、そもそも彼ら「しくじりアニーズ」は、「なりたい」と思っているだけの筆者よりもよっぽど自分から行動している! 彼らの行動力は、なにも成しえていない筆者に、ナイフのように突き刺さるのだった。

ここで一句。

人のふり 見たら自分に はねかえり

■ブロードウェイ20周年記念公演における、いざこざ

前述した映画に出てくる元孤児の中で一番人生が変わってしまったのは、1997年ブロードウェイ20周年記念公演にて「幻のアニー」となってしまったジョアンナ・パティッシーだろう。今ではレコーディング・アーティストになっている彼女は、かつてオーディションでアニーに選ばれ、ブロードウェイで主演するはずだった。しかしその直前に降板となる。解雇当時の彼女が涙ながらに語るシーンも映画に収録されている。しかもアニーのように真っ赤な服装で……。

彼女のオーディション映像は筆者も見ている。百貨店のメイシーズがスポンサーとなって大規模なオーディションが行なわれ、その様子が『スターを探せ』というTV番組で放送されていたのだ。

日本の『アニー』メイキング映像を見慣れた人からすれば、玉石混淆というか、玉石の「石」があまりにも多く、演技がドヘタな筆者が見ても「もう帰したらどうだ」と思う子ばかりであった。しかし、スタッフはひとりひとりを丁寧に、熱心に、見てあげている。そこに挟み込まれたのが、床屋の中で突然歌い出し、客からチップをもらうお茶目な女の子の映像だった。その格別な輝き! 彼女がパティッシーだった。

1977年初演アニー役アンドレア・マッカードルの娘も同じオーディションを受けていたが、パティッシーがダントツにうまかった。そして当然パティッシーが実力でアニー役を勝ち取った。初代アニー役マッカードルに抱え上げられて、華々しく選ばれる瞬間まで映っている。だから、このオーディションの段階で不正があったとは考えられない。

パティッシーは、まだブロードウェイにあがる前、試演の段階で6都市で100公演以上アニーとして舞台に立った。しかしボストンで気管支炎を患い、2週間ほど治療してる間に、ブロードウェイのアニー役が、ジュライ役だったブリトニー・キッシンジャー(当時8歳)にとって代わられることとなったのだ。

パティッシーが降板を宣告されたのは、ブロードウェイ初日の4週間前だった。キッシンジャーと半々で舞台に立つなどの案もあったが、「ブロードウェイのオープニング・ナイトはどちらが立つか」「CD音源はどちらが入れるか」などの条件面で調整が決裂。

パティッシーは「100公演以上でアニーを演じた。私を観た人は、私こそアニーだとわかってくれるだろう」と語るが、結局、史上最年少8歳のアニーとしてブロードウェイの舞台に立ち、もてはやされたのはキッシンジャーだった……。

この件でパティッシーは公に係争しており、そのニュース・テキストや映像は今でもWEBで数多く見ることが可能だ。筆者は「Johanna Pattici Annie sue」で検索して出てくるNY TIMES や PLAYBILL  といった信憑性の高いサイトを参照して、この顛末を書いたのだが、もし誤訳や誤解があったら指摘していただきたい。

さて、この20周年公演では、次のようなことも起こった。ミス・ハニガン役に黒人女優ネル・カーターが選ばれ、すでにブロードウェイの舞台に立っていたにもかかわらず、スタッフは過去にミス・ハニガン役を演じた白人女優マルシア・ルイスの映像をプロモーションで流していた。「わざわざ撮り直すには高すぎる」という理由で! これに人種差別的な匂いを嗅ぎ取り、抗議したカーターはやがて舞台を降板させられ、別の白人女優がミス・ハニガンとなった。そんなエピソードも加わって、かなりいわくつきの公演になったのである。

このことを考えると、2015年に日本でも公開された映画『ANNIE/アニー』のメインキャストが黒人中心で作られたことに、深い感慨を禁じ得なかった(ミス・ハニガンは黒人ではなかったけれど)。

ちなみに筆者は、カーターとキッシンジャーの出演した『アニー』のプレイビル(当日パンフレット)も所有している。

筆者がブロードウェイ・フリーマーケットで購入した、当時のプレイビル。 1997年ブロードウェイリバイバルの演出は、1977年の初演同様、作詞のマーティン・チャーニン氏が担当した

筆者がブロードウェイ・フリーマーケットで購入した、当時のプレイビル。 1997年ブロードウェイリバイバルの演出は、1977年の初演同様、作詞のマーティン・チャーニン氏が担当した

最上段にカーターさんとキッシンジャーさんの名前が見える

最上段にカーターさんとキッシンジャーさんの名前が見える

■『フォービドゥン・ブロードウェイ』

「ブロードウェイ」とはニューヨーク・タイムズスクエア周辺の劇場街のこと(直訳は「大通り」の意味)。500席以上の客席規模の劇場で上演されるプロの公演が「ブロードウェイ」、100~500席未満(だいたい300席前後)の劇場公演が「オフ・ブロードウェイ」と呼ばれる。

その「オフ・ブロードウェイ」では、1982年以降フォービドゥン・ブロードウェイ(禁断のブロードウェイ)』 というパロディ・ミュージカル・ショーがしばしば上演されている。1993年5月と1995年6月・7月には、東京の博品館劇場で来日公演が行なわれたので、ご存知の方も多いだろう。筆者も、「面白いんだな、これが」というキャッチコピー込みで爆笑したものだ。

NY『フォービドゥン・ブロードウェイ』の劇場地下トイレに貼られていた日本公演ポスター

NY『フォービドゥン・ブロードウェイ』の劇場地下トイレに貼られていた日本公演ポスター

2人の男性、2人の女性、そして1台のピアノ伴奏でもって、そのときにヒットしているブロードウェイ作品や有名な作品をおちょくる。『フォービドゥン・ブロードウェイ』を観るために、元ネタとなるミュージカルを観るという倒錯的なファンがいるほど、隠れた人気公演だ(と筆者は思っている)。

2017年3月現在は、フォービドゥン・ブロードウェイのメンバーであるジェラルド・アレッサンドリーニ脚本の『スパミルトン(SPAMILTON)』が上演中だ。 おそらくチケットが取れない大人気作『ハミルトン』を『スパマロット』風味に味付けしたと思われる。『スパミルトン』のニューヨーク・ポストの評価はこうだ。「これを観たら、『ハミルトン』も観なきゃネ!」

筆者は、ニューヨーク旅行中に『フォービドゥン・ブロードウェイ』系のパロディーが上演していれば必ず観る。単なるパロディーではない、ときに鑑賞の手引きまで教えてくれるのだ。

たとえば2007年の上演『フォービドゥン・ブロードウェイ イヤな目覚め(Forbidden Broadway Rude Awakening)』は、もちろん『春のめざめ(Spring Awakening)』のパロディーが中心だったが、そこで先生と父親の2役を同じ衣装で演じ分ける「Adult Man」という役柄について、「帽子をかぶっているときが先生です」と言って笑いを取っていた。正直、『春のめざめ』でその2役の見分けがつかなかった筆者は、そのおかげでホンモノを観賞するときの区別がついたものだ。

さて前置きが長くなったが、『フォービドゥン・ブロードウェイ』において『アニー』は、そのときブロードウェイで上演されていなくても織り込まれる定番ネタだ。2008年『フォービドゥン・ブロードウェイ リハビリに行く(Forbidden Broadway Goes to Rehab)』のプレイビルも、この年は上演されていない『アニー』が表紙になっていた。

筆者私物プレイビル:2008年『フォービドゥン・ブロードウェイ リハビリに行く(Forbidden Broadway Goes to Rehab)』は、アニー(?)が表紙

筆者私物プレイビル:2008年『フォービドゥン・ブロードウェイ リハビリに行く(Forbidden Broadway Goes to Rehab)』は、アニー(?)が表紙

筆者がこれを観劇した日にちょうど、ブロードウェイで当時上演していたミュージカル『13』の美少年&美少女キャストたち(その中には後年有名になるアリアナ・グランデも含まれる)が休演日を利用して観に来ている現場に遭遇。「自分たちのミュージカルは、どんなふうにネタにされているのかしら」とワクワクしている彼らの期待を裏切り、『13』は一瞬たりともネタにされていなかった。当然である。ヒットしていなかったのだから……。一方『アニー』は、表紙を飾っているだけあって、もちろんネタとして大いに扱われていた。

真っ赤な(しかし大人用サイズの)衣装をまとった可愛くもない成人アニーが現れ、タバコをふかしながら、ドスのきいた声で歌い上げる。かつてはみんなの憧れの存在だったのに、今は忘れられてしまった。「現在30歳。10歳で『アニー』を演じて以来、仕事がない……」 いつか父さんと母さんが迎えにきてくれる、とばかりに「いつか誰かが私を『アニー』に呼び戻してくれる」と、「Tomorrow」や「Maybe」という『アニー』の名曲単語を巧みに入れて歌う。だけど栄光は過去のもの……。

ラストフレーズ“Tomorrow Is Yesterday!”が印象的なので、語句検索をしてみたところ、1967年『スタートレック』に「Tomorrow Is Yesterday」というエピソードがあり、時間がずれて過去に戻るというストーリーなのだそうだ。なるほど、その世界なら、過去のアニーに戻れる奇跡が起こるかもしれない!

その「30歳バージョン」では「私の赤毛が白髪になる前に、私をアニーとして復活させてほしい」と歌う部分もあるのだが、赤毛が白髪になっちゃったアニーの、手遅れ「老婆バージョン」も、ヴァリエーションとして存在する。白髪になったアニーがシルバー・カーにつかまって出てくるその様は、ミュージカル『アニー』の作者トーマス・ミーハンも脚本に参加しているミュージカル『プロデューサーズ』の老婆さながらだ。

『フォービドゥン・ブロードウェイ』のオフィシャルサイトには、老婆アニーの写真が載っているのでリンクを貼っておく。
『ブック・オブ・モルモン』キャスト(?!)と
犬のサンディ(?!)と一緒に 

筆者の夢見る、さいたまゴールドシアターでの『一万人のアニー』(連載第1回参照)に最も近いのは、実はコレなのかもしれない。

■『ザッツ・ジャパニーズ・ミュージカル』

この辛口な『フォービドゥン・ブロードウェイ』のようなものを日本でやりたい、と企画され、1991年2月に玉川高島屋アレーナホールと青山スパイラルホールで上演されたのが『ザッツ・ジャパニーズ・ミュージカル』だ。その初演には、1988年に『アニー』でルースター役を演じた川平慈英が出演している。(上演までの詳細は、演出家・高平哲郎によるこちら→「歌もダンスもタップもいける屈託のない男 川平慈英」 )

ジャパニーズ・ミュージカルを皮肉たっぷりに描いたせいで各方面から圧力を受けたようだが(参照:ゆけむり通信 番外1998)、1998年には本多劇場、2000年にはグローブ座で華麗に復活した。筆者は、1998年の本多劇場版を観劇した。

北村岳子、市村正親という「もと劇団四季」のメンバーが中心を成していた。四季=Seasonsということで、出演者全員が『RENT』の名曲「Seasons of Love」にのせて「ジャパニーズ・ミュージカ~~~~~ル」と歌い上げるだけで、十分、皮肉として笑わせていた。そして劇中には、もちろん『アニー』のエピソードもあった!

子役時代の早坂好恵が、斎藤晴彦演じる鬼演出家にヘタクソな演技を徹底指導される。そして現在の彼女が出てきて「Tomorrow」を歌う。もちろんアニーの衣装でだ。

つらい毎日、明日は女優になれると思っていた。けれどもこのザマ……とばかりに、下を向いて歌う早坂。彼女は実際に『アニー』出演経験があったらしい(参照:ザッツ・ジャパニーズ・ミュージカル'98)。ゆえに鬼演出家は実在の方のパロディかしら?と思ったが、彼女が出演したのは1983年ということで、1978年の東宝版や1986年以降の日本テレビ主催版ではないようだ。

しかし、これはまさに、『早坂好恵のライフ・アフター・トゥモロー』ではないか! 皆が正面を向いて歌う「Seasons of Love」でも彼女だけはひとりうつむいていたので、どこかさみしい気持ちにさせられたものだった。

ところで筆者は先日、2017年5月3日~6日に三越劇場で行なわれる『歌会(KAKAI)』というミュージカル・レビューのチラシを手に入れた。そこには2015年の公演写真が載っているのだが、どう見てもアニーの扮装をした大人が歌っていた。本家『アニー』と同じ時期に上演するとは……これは今年もパロディーが見られると期待していいのだろうか?

『歌会(KAKAI)』のチラシ。右側(裏面)の右上部に注目

『歌会(KAKAI)』のチラシ。右側(裏面)の右上部に注目

チラシ裏面の右上部を拡大してみると……!

チラシ裏面の右上部を拡大してみると……!

■『アニー』に魅せられて

日本におけるミュージカル『アニー』は1978年に東宝製作で日本初演、日本テレビ主催・製作は1986年から始まり、現在に至っている。日本テレビ版だけでも2017年に32年目の上演を迎える。それほど長い歴史を重ねてきた『アニー』だから、日本にもたくさんの『アニー』ファンがいる。アニーになれた・なれないにかかわらず、『アニー』に魅せられた、筆者以上にコアなファンが数多く存在し、その一部はインターネットで覗くこともできる。

中でも、香織さんの 「アニータウン」 がスゴイ。
・Wikipediaを超越した『アニー』の歴史
・1982年の映画『アニー』について:「Aileenから」のコーナーには、アイリーン・クインさんからのファンレターの返事が! 
・アニー メイキング放送のあゆみ
・歴代のチラシコレクションやグッズなど、とにかくカラー写真が豊富! 

論考としては、以久科鉄道志学館 館長:和寒さんによる【総論】内の『アニー論』を紹介したい。大人の観客として『アニー』に触れたアツさで持論を展開している。特に『赤毛のアン』など、文学と絡めての論考が興味深い。


さて次回からは、いよいよミュージカル『アニー』本編の内容について掘り下げてゆく。1933年のアメリカ合衆国における「フーバービル」「ニュー・ディール政策」、ミュージカル『アニー』脚本家のトーマス・ミーハンがカットした部分、劇中の孤児院の実態やウォーバックスの財力などについて探りながら、『アニー』を語っていく予定だ。

次回につづく

<アニーになりたい筆者よりお知らせ>
☆アニーのオーディションの様子などが見られる、2017「アニー」メイキング特番オンエア日決定!

4月8日(土)10:30~ 日本テレビ(関東ローカル)
(※大阪・仙台・名古屋・上田の放送日は未定)
http://www.ntv.co.jp/annie/news/

公演情報
丸美屋食品ミュージカル『アニー』
 
<東京公演>
■日程:2017年4月22日(土)~5月8日(月)
■会場:新国立劇場 中劇場
 
<大阪公演>
■日程:2017年8月10日(木)~15日(火)
■会場:シアター・ドラマシティ
 
<仙台公演>
■日程:2017年8月19日(土)~20日(日)
■会場:東京エレクトロンホール宮城
 
<名古屋公演>
■日程:2017年8月25日(金)~27日(日)
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール
 
<上田公演>
■日程:2017年9月3日(日)
■会場:サントミューゼ大ホール
 
■料金:全席指定8,500円
[スマイルDAY]
4月24日(月)17:00公演
4月25日(火)17:00公演
全席指定:特別料金6,500円(税込)
[わくわくDAY]
4月26日(水)13:00公演 / 17:00公演
来場者全員にオリジナルグッズプレゼント
(「犬ぬいぐるみ」「ハート型ロケットペンダント」「アニーのくるくるウィッグ」「非売品Tシャツ(Sサイズ)」4点のうちいずれか1点をもれなくプレゼント)
(入場チケット持参で当日のみ引き換え。グッズによっては数に限りがあり、先着順となります。)
※ 4歳未満のお子様のご入場はできません。
※ チケットはお一人様1枚必要です。
■チケット一般発売開始:2017年1月14日(土)10:00~
 
■脚本:トーマス・ミーハン
■作曲:チャールズ・ストラウス
■作詞:マーティン・チャーニン
■翻訳:平田綾子
■演出:山田和也
■音楽監督:佐橋俊彦
■振付・ステージング:広崎うらん
■美術:二村周作
■照明:高見和義
■音響:山本浩一
■衣裳:朝月真次郎
■ヘアメイク:川端富生
■舞台監督:小林清隆・やまだてるお
 
■出演:
野村 里桜、会 百花(アニー役2名)
藤本 隆宏(ウォーバックス役)
マルシア(ハニガン役)
彩乃 かなみ(グレース役)
青柳 塁斗(ルースター役)
山本 紗也加(リリー役)
ほか
 
■主催・製作:日本テレビ放送網株式会社
■協賛:丸美屋食品工業株式会社
■公式サイト:http://www.ntv.co.jp/annie/​



2017「アニー」メイキング特番 オンエア日決定!
4月8日(土)10:30~ 日本テレビ(関東ローカル)
(※大阪・仙台・名古屋・上田の放送日は未定→決定次第お知らせ)
http://www.ntv.co.jp/annie/news/
■子供キャスト

<チーム・バケツ>
アニー役:野村 里桜(ノムラ リオ)
モリー役:小金 花奈(コガネ ハナ)
ケイト役:林 咲樂(ハヤシ サクラ)
テシー役:井上 碧(イノウエ アオイ)
ペパー役:小池 佑奈(コイケ ユウナ)
ジュライ役:笠井 日向(カサイ ヒナタ)
ダフィ役:宍野 凜々子(シシノ リリコ)
<チーム・モップ>
アニー役:会 百花(カイ モモカ)
モリー役:今村 貴空(イマムラ キア)
ケイト役:年友 紗良(トシトモ サラ)
テシー役:久慈 愛(クジ アイ)
ペパー役:吉田 天音(ヨシダ アマネ)
ジュライ役:相澤 絵里菜(アイザワ エリナ)
ダフィ役:野村 愛梨(ノムラ アイリ)

ダンスキッズ

<男性6名>

大川 正翔(オオカワ マサト)
大場 啓博(オオバ タカヒロ)
木下 湧仁(キノシタ ユウジン)
庄野 顕央(ショウノ アキヒサ)
菅井 理久(スガイ リク)
吉田 陽紀(ヨシダ ハルキ)

<女性10名>
今枝 桜(イマエダ サクラ)
笠原 希々花(カサハラ ノノカ)
加藤 希果(カトウ ノノカ)
久保田 遥(クボタ ハルカ)
永利 優妃(ナガトシ ユメ)
筒井 ちひろ(ツツイ チヒロ)
生田目 麗(ナマタメ レイ)
古井 彩楽(フルイ サラ)
宮﨑 友海(ミヤザキ ユミ)
涌井 伶(ワクイ レイ)

【動画あり】神田沙也加がキューティに熱演! ミュージカル『キューティ・ブロンド』が開幕 ~ゲネプロ・レポート

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 米トニー賞7部門にノミネートされ、英オリヴィエ賞3部門受賞に輝いたブロードウェイ・ミュージカル『キューティ・ブロンド』が日本で3月21日から開幕した。女子力全開の本作を神田沙也加が主演する。3月21日、初日公演の前に行われた総通し稽古=ゲネプロの様子をお伝えする。

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

総通し稽古=ゲネプロのダイジェスト動画
 

 本作は、2001年に公開された人気映画『Legally Blonde』(邦題『キューティ・ブロンド』、2002年日本公開)を元にして、2007年にブロードウェイで誕生。オリジナル版では、音楽/詞をローレンス・オキーフ&ネル・ベンジャミン、脚本をヘザー・ハック、そして演出・振付は『ヘアスプレー』や『キンキー・ブーツ』の振付などを手がけたジェリー・ミッチェルが担当している。オーストラリアや韓国など、世界各国で上演されている人気作だ。

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

 神田が演じる主人公のエルは、オシャレが大好きなブロンドの女子大生。婚約間近だった彼氏のワーナー(植原卓也)に突然振られてしまうが、彼の気を引くため、猛勉強して、見事ハーバード大学のロー・スクールに合格。ハーバードの卒業生であるエメット(佐藤隆紀)やヘア&ネイリストのポーレット(樹里咲穂)らと出会い、エルはさまざまな困難や苦労を乗り越えながら、一人前の弁護士を目指していくという物語だ。

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

 見所の一つは、なんといっても衣装だろう。特に神田は、オシャレが大好きなエルらしく、劇中で17着もの衣装を着る。舞台上での早着替えも、女子の代表カラーであるピンクを基調としたファッショナブルな衣装の着こなしも、完璧にこなしていた。樹里の演じるポーレットや、その他の女友達の衣装も、カラフルで、観ているだけで幸せな気分になった。

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

 1幕・2幕通じて約3時間(途中休憩あり)。チアリーディングのチームで踊る『あなたが欲しいもの』や、エルの一大決心を歌った『ポジディヴ』など、全体的にポップで明るく、ダンスシーンが特徴的な楽曲が多いので、楽しんで観ることができる。裁判のシーンで歌われる『ゲイもしくはヨーロッパ人?』といった楽曲も印象的で、「ブロードウェイらしさ」をちゃんと残しながらの訳詞に好感が持てた。

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

 詳しくは書けないが、ブロードウェイ版にはない、日本版ならではの演出も用意してある。恋に勉強にファッションに全力投球なエルの、最高にハッピーでキュートな結末をぜひ劇場でご覧頂きたい。

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

『キューティ・ブロンド』ゲネプロの様子

※関連記事「初座長・神田沙也加が大阪で語った!女子力全開なブロードウェイ・ミュージカル『キューティ・ブロンド』」「神田沙也加が歩くバービー人形に!~『キューティ・ブロンド』取材会レポート~

公演情報
ミュージカル『キューティ・ブロンド』
 
■音楽/詞:ローレンス・オキーフ&ネル・ベンジャミン
■脚本:ヘザー・ハック
■翻訳・訳詞・演出:上田一豪
■出演:神田沙也加、佐藤隆紀(LE VELVETS)、植原卓也、樹里咲穂、新田恵海、木村花代、長谷川初範ほか

 
■公演スケジュール
 
[東京] 3月21日(火)~4月3日(月)日比谷シアタークリエ
主催:東宝株式会社 問合せ:03-3201-7777
http://www.tohostage.com/cutieblonde/index.html
 
[愛知] 4月5日(水)~6日(木)愛知県芸術劇場
主催:キョードー東海 問合せ:052-972-7466
http://www.kyodotokai.co.jp/events/detail/1271

 
[香川] 4月8日(土)18:00 レクザムホール・大ホール
主催:あなぶきエンタテインメント 問合せ:087-823-5023
http://kenminhall.com/
 
[大分] 4月12日(水)iichikoグランシアタ
主催:(公財)大分県芸術文化スポーツ振興財団 問合せ:097-533-4004
http://www.emo.or.jp/notice/20170421cutieblonde/
 
[福岡] 4月15日(土)~16日(日)キャナルシティ劇場
主催:キャナルシティ劇場 問合せ:092-271-6062
http://www.canalcitygekijo.com/20670
 
[広島] 4月18日(火)JMSアステールプラザ大ホール
主催:新広島 問合せ:事業部 082-253-1010
http://www.tss-tv.co.jp/event_information/engeki/20170418.html
 
[静岡] 4月20日(木)浜松市浜北文化センター大ホール
主催:キョードー東海 問合せ:052-972-7466
http://www.kyodotokai.co.jp/events/detail/1273
 
[福井] 4月23日(日)13:00 越前市いまだて芸術館
主催:(公財)越前市文化振興・施設管理事業団 問合せ:0778-42-2700
http://www.jigyodan-city-echizen.jp/event/1988.html

 
[大阪] 4月27日(木)~30日(日)メルパルクホール大阪
主催:関西テレビ 問合せ:梅田芸術劇場 06-6377-3888
http://www.ktv.jp/event/cutie/index.html

 

【THE MUSICAL LOVERS】 ミュージカル『アニー』 [連載第4回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その1>フーバービル~

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【THE MUSICAL LOVERS】
 Season 2 ミュージカル『アニー』
 【第4回】 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その1>フーバービル~

前回はこちら

『アニー』が大好きな筆者は、「『アニー』を観たことがない」というミュージカルファンに出会うと、必ず訊いてしまう。「ミュージカルが好きなのに、どうして『アニー』は選択肢から外れてしまうの?」

答えはたいてい「なんか、大人向けじゃない気がする」。

もちろん、対象マーケットは子ども向けといえなくもない。しかし、子どものチケット代を出すのは大人。大人が退屈だったら、子どもを同伴しないのではないか? 大人も楽しいから、連れて行きたいと思うのではないだろうか?

ならば大人には『アニー』のどこが「ツボ」となりうるのだろうか。そのひとつが今回紹介する「フーバービル」のシーンなのではないかと、筆者は考える。が、それについては後述するとして、まずは『アニー』の簡単なあらすじを紹介しておこう。

ミュージカル『アニー』あらすじ

1933年12月。1929年からの世界的大恐慌が色濃く残り、家や職を失う人々にあふれていたアメリカ合衆国。そんな中、ニューヨークの孤児院にはひとりの前向きな女の子がいた。
その子はアニー。いつか両親が迎えに来てくれることを夢見る11歳の赤毛の少女だ。
「いつまで待っても父さんと母さんは迎えに来ない。だったらこっちから探しに行こう!」
孤児院を脱走し、りんご売りのおじさんや犬のサンディ、さらには「フーバービル」の人たちと出会うアニー。
しかし警官に補導され孤児院に連れ戻される。そこに大富豪ウォーバックスの秘書グレースがやって来た。「クリスマス休暇に孤児を招待したい」と申し出に来たのだ。
グレースに選ばれたアニーは、ウォーバックス邸で2週間、夢のような日々を過ごすのだった。
ウォーバックスもアニーにひかれてゆき、養子にしたいと願う。しかしアニーの望みは「普通の子と同じように両親と暮らしたい。父さんと母さんを見つけ出したい」ということだった。
ウォーバックスは5万ドルの賞金を出し、アニーの両親を公開捜索する。しかし両親になりすまそうとする悪人は、全米にごまんといた。さてどうなる、アニー!?
 
 

■日本ほど『アニー』を上演してる国はない

ミュージカル『アニー』の日本での上演を振り返ってみると、1978年に東宝製作で初演、その後、現在の日本テレビ主催・製作が1986年に始まった(以後「東宝版」「日本テレビ版」と呼ぶ)。日本テレビ版だけでも2017年に32年目の上演を迎える。

これだけ毎年『アニー』が上演されているのは世界でも日本だけである。これほど長く上演されていることは、ムチャクチャ愛されているということではないか? しかし、ブロードウェイでも毎年上演されてきたわけではない『アニー』が、なぜ日本でこんなにも?とも思う。そのことは今後改めて考えてゆきたい。

NETWorksというプロダクションの『アニー』(2000年)のパンフレット (筆者私物)

NETWorksというプロダクションの『アニー』(2000年)のパンフレット (筆者私物)

パンフレットの中にはクイズが掲載されており……

パンフレットの中にはクイズが掲載されており……

正解が「日本」となるクイズが出題されていた!

正解が「日本」となるクイズが出題されていた!

それにしても「1933年のアメリカ合衆国」が舞台って、日本の観客にはピンときているのだろうか? 逆に、それをちゃんとわかって観劇したら、作品の受け止め方に変化が生じるかもしれない。そのあたりを考えてゆくうえで、ブロードウェイ・ミュージカル『アニー』の誕生から、振返ってみる必要があるだろう。

■ブロードウェイ・ミュージカル『アニー』の誕生

ミュージカル『アニー』は、漫画家ハロルド・グレイが1924年から「ニューヨーク・デイリーニューズ」という新聞に連載していたコミック・ストリップ(つづき漫画)『小さな孤児アニー(Little Orphan Annie)』をもとにしている。

『小さな孤児アニー』は1930年~1943年までラジオドラマ化され、1932年にはRKOによるモノクロトーキー映画、1938年にはパラマウントによるカラー映画が公開された。このことで、コミック連載の配信先も拡大していった。グレイは1968年にガンで死去したが、その後もエリオット・キャプリンなど5人の作家によって描き継がれ、2010年まで実に86年間も連載は続いた。

1977年に発表されたミュージカル版の作家陣は、作詞:マーティン・チャーニン(演出も担当)、作曲:チャールズ・ストラウス、脚本:トーマス・ミーハン。

初演で演出を担当した作詞のチャーニンは、1997年のブロードウェイ20周年記念公演の演出も担当しており、彼の演出が現在のアニーの基礎を築いたといえるだろう。作曲のストラウスは、彼にとって初のブロードウェイ作品『バイ・バイ・バーディー』(1960年~1961年に上演)がトニー賞を獲得したことで有望新人として注目された。1970年の『アプローズ』で再びトニー賞を獲得。また、アメリカン・ニューシネマの先駆けとなった大ヒット映画『俺たちに明日はない(ボニー&クライド)』(1967年)の音楽も担当した。

脚本のミーハンは、雑誌「ザ・ニューヨーカーズ」のライターとして長年活躍。TV番組のライターとしてもエミー賞を獲得。『アニー』以降は、メル・ブルックスの映画をブルックスとの共同脚本としてミュージカル化した『プロデューサーズ』(2001年)、ジョン・ウォーターズの映画をマーク・オドネルと共同脚本でミュージカル化した『ヘアスプレー』(2003年)、といったヒット作品に係わり、いずれもトニー賞の最優秀脚本賞を受賞した。なお、ブルックスの映画に基づくミュージカル『ヤング・フランケンシュタイン』(2007年)の共同脚本もミーハンで、こちらは2017年夏に小栗旬主演で日本でも上演される予定である。さらには、スタローン主演映画に基づくミュージカル『ロッキー』(2012年ハンブルグ初演、2014年ブロードウェイ初演)の脚本も手掛けており、映画原作のミュージカルを得意とする脚本家、という印象が強くなった。

そのミーハンによれば、ミュージカル『アニー』誕生のきっかけは、チャーニンがミーハンに『小さな孤児アニー』をミュージカル化しないかと誘ったことだった。チャーニンの友人ストラウスも同様の経緯で作曲を担当することになった。

ミーハンは雑誌に喜劇小説や記事を書いていたとはいえ、ミュージカルの脚本は初めて。脚本を執筆し始めた1972年の時点で原作にあたるべく、48年間分の新聞連載に目を通したミーハンは、ミュージカルに使えるのは「世界一貧しい少女」「世界一金持ちの男」「犬のサンディ」だけと判断。あとの物語はまったくの創作となった。

ミュージカル『アニー』の舞台は、1933年のアメリカ合衆国、ニューヨークであるが、これもミーハン氏の創作である。ニューヨークにしたのは、「作詞(演出)・作曲・脚本の3人がニューヨーカーだったから」だそうだ。では、1933年のアメリカ合衆国を舞台にした理由は?

■歴史を描きながら、現代を斬り込む手法

ミーハンがミュージカル『アニー』の脚本を書き始めたのはニクソン大統領政権下の1972年である。前年の1971年といえば二度の「ニクソン・ショック」(訪中宣言+金とドルの交換を停止したドル・ショック)があった。また、世界的なスタグフレーション(不況+インフレ)や失業率の高まりに加えて、ベトナム戦争も泥沼にはまっていた(アメリカがベトナムから全軍撤退したのは1973年3月)。その世相を反映すべく、ミーハンがアニーを送り込んだ先が、世界的な不況と不安のうずまく「1933年のアメリカ合衆国」だったというわけだ。

『レ・ミゼラブル』『タイタニック』『ミス・サイゴン』『ブラッディ・ブラッディ・アンドリュー・ジャクソン』『レディ・べス』『マリー・アントワネット』『グーテンバーグ!』等々、歴史の混沌の中に主人公を送り込み、史実とフィクションとかけあわせる手法は、ミュージカルではお得意の分野だ。2016年トニー賞を総なめしたミュージカル『ハミルトン』だって、アメリカ合衆国の歴史を描きながら、現代の世相に斬り込んでいるフシもある。『ハミルトン』、まだ観てないけど。

ミュージカル『アニー』は1976年アメリカ合衆国コネチカット州でのトライアウトを経て、ニューヨーク・ブロードウェイで1977年4月21日にアルヴィン・シアター(現在のニール・サイモン・シアター)で上演され、その年のトニー賞作品賞を始め7部門を受賞した(ミーハンは初脚本にして最優秀脚本賞を得た)。ブロードウェイ・ミュージカル『アニー』の華やかな誕生である。1978年にはグラミー賞「Best Cast Show Album」も受賞している。

1977年初演でのアニー役はアンドレア・マッカードル。1978年~80年はサラ・ジェシカ・パーカー(当時13歳~15歳)がアニーを演じた。

ちなみに1978年、ロサンジェルスで上演されたウェスト・コースト・プロダクションの『アニー』には、80年代の青春映画スター、モリー・リングウォルドがケイト役で出演、ブロードウェイと同じく作詞のマーティン・チャーニンが演出を担当した。

モリー・リングウォルド出演『アニー』のパンフレット(筆者私物)

モリー・リングウォルド出演『アニー』のパンフレット(筆者私物)

モリー・リングウォルド紹介文

モリー・リングウォルド紹介文

1977年4月21日から1983年1月2日まで合計2,377回上演されるロングラン公演となったブロードウェイ・ミュージカル『アニー』。以後、ツアーを除くブロードウェイでの上演は、1997年の20周年記念公演(【第3回】参照)、2012年~2014年にかけて上演されたブロードウェイ・リバイバル版(【第2回】参照)となる。

現在の日本テレビ版は、毎年4月21日前後の土曜日に開幕することが多いのだが、筆者が推測するに、このブロードウェイ初演「1977年4月21日」に敬意を表しているのではないだろうか。2017年の日本版プロダクションは、ブロードウェイ初演から40周年となる4月22日土曜日に開幕する。誰も宣伝していないが、40周年という事実に筆者は興奮している!

■「フーバービル」こそ、大人の盛り上がりどころ

日本テレビ版の『アニー』は、前回まで2人の演出家の手によって上演されてきた。1986年~2000年は篠崎光正、2001年~2016年はジョエル・ビショッフが、それぞれ演出を担当した(以後「篠崎版」「ビショッフ版」と呼ぶ)。

篠崎版とビショッフ版、両者の決定的な違いといえば、“あの曲”があるかないか、ではないだろうか。“あの曲”とは、「Hooverville(We'd Like To Thank You Herbert Hoover)」である。

筆者は2012年~2014年にかけて上演されたブロードウェイ・リバイバル版『アニー』を、2013年に2回観劇した。その時のアニー役はリラ・クロフォード、ミス・ハニガン役はドラマ『glee』のスー先生でおなじみジェーン・リンチであった。(【第2回】参照)

このプロダクションの演出は『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』や『イントゥ・ザ・ウッズ』で脚本家としても活躍するジェームズ・ラパイン。振付は『ハミルトン』で一世を風靡したアンディ・ブランケンビューラーだった(その前に彼は『イン・ザ・ハイツ』の振付でもトニー賞最優秀振付賞をとっている)。

前述のとおり、ミュージカル『アニー』の舞台は1933年のニューヨーク。季節はクリスマス間近の12月中旬。筆者の観たブロードウェイ・リバイバル版では開演前、洗濯物が舞台いっぱいに吊り下がっていた。それは孤児の洗濯物なのだが、舞台の上部に見えていることで、野外で洗濯物を干していることが特徴の「フーバービル」が街々に拡がっていることも同時に表現している。そして劇の冒頭に時代背景、主に貧民街「フーバービル(Hooverville)」についての説明が1分ほどアナウンスされる。

「フーバービル」のフーバーとは、劇中にも出てくる有名なFBI長官のジョン・エドガー・フーバーではない(余談だが、1933年にはFBIという呼称もまだなかった……)。アメリカ合衆国の第31代大統領ハーバート・フーバー(共和党)のことなのである。

■ルーズじゃないよ! Roosevelt大統領

ハーバート・フーバー(共和党)は、フランクリン・ルーズベルト(民主党)の一つ前の大統領である。

ときに、ブロードウェイ・リバイバル版でアニー役のリラ・クロフォードが、大統領をこう呼んだのをハッキリ憶えている。「ローズベルト!」 ……ローズベルト?

疑問の答えは、昨年までのビショッフ版の舞台美術の中にもあった。孤児院を抜け出したアニーがやって来た街角、セント・マークス・プレイスには「バラの絵+velt Vote」と書かれた貼り紙がされている。アメリカでRooseは、Rose(バラ)と同じく、「ローズ」と発音する。貼り紙が意味することは、「Rose(ローズ)の絵+velt Vote」つまり、ローズベルトに投票(Vote)しましょう、ということ。そう、ルーズベルト(Roosevelt)は、正しくは「ローズベルト」と発音すべきなのだ。よって、この後は筆者も「ローズベルト」と記させていただく。

『アニー』の物語は、そのローズベルトの大統領就任(1933年3月)から9ヶ月が経っている。にもかかわらず、舞台の風景は選挙前のポスターが貼られたまま、不況の真っ只中にある。つまり、劇中ではローズベルトの例の有名なニュー・ディール(新規まき直し)政策はまだ打ち出されていない、と暗に示されているのだ。実際には大統領選挙の時、既にその政策は掲げられていたのだけれど……。

では、ニュー・ディール政策がまだ打ち出されていないという設定での劇中の人々はどんな暮らしをしているのだろう?

■悪名高きフーバーの失政が残る『アニー』の世界

1929年の株価暴落に端を発した大恐慌は、共和党・フーバー前大統領の失政によるものとされた。そして、それがもとで仕事も家も失った人々の集まった場所を、民主党が非難を込めて「フーバービル(Hooverville:フーバー村)」と呼んだのだ。そのことを予め知っているのと知らないのとでは、劇内容への理解度も異なってくる。

当時、アメリカの労働力の実に四分の一以上、1,300万人以上が失業していたという。劇中、59番ストリート橋ふもとの「フーバービル」でも、ベニヤ板や段ボールで作った粗末な掘っ建て小屋で、何を煮込んだのかわからない、クソまずい熱々のシチュー(のようなもの)を食べている失業者たちが登場する。

こんなはずではなかった、フーバー大統領は彼らにある「公約」を掲げていたのに―。

フーバーが打ち出した有名な公約は「あらゆる鍋に1羽のチキンと、あらゆるガレージに2台の車(A chicken in every pot and two cars in every garage)」だった。このことを踏まえつつ、近年のビショッフ版ではカットされていたナンバー「Hooverville We'd Like To Thank You Herbert Hoover」の一部を見てみよう。

もちろん、野ざらしの掘っ建て小屋「フーバービル」に暮らす人が、曲のタイトルどおりフーバーに「ありがとう」と言いたいわけではないではない。「この青い天国に、車2台入る居心地の良いコテージを建てたよ。ありがとう、我々がもらえたのは、青ざめさせられることだけ」「あらゆる鍋にチキンを、という公約をフーバーは忘れちまっただけじゃない。我々はチキンどころか、入れ物の鍋すら得られなかった」

『アニー』はクリスマスシーズンの話。アメリカのクリスマス・ディナーといえば七面鳥だ。七面鳥のお腹には詰め物をするのが定番だが、それを"stuff"と言う。"stuff"にはそれ以外にもお腹いっぱいになる、不正投票をする……などなど多様な意味があり、それらすべてフーバーにイヤミを込めて"stuff"を連呼する。「我々には腹をふくらます七面鳥もない、お前(フーバー)を詰めてやるっていうのはどうだろう!(不正票もぎっちり詰めてやるよ!)」というような感じだろうか。

その他の部分でも、家も食べ物も職もない、苦しい生活が皮肉たっぷりに歌われている。篠崎版でのこの曲は、「ここは天国でも地獄ですらない」「今に見てろよ!」など、時代の「雰囲気」は歌っていたと記憶するが、直訳はされていなかった。

というか、英語の原詞を読んでも、フーバーの公約を知らなかったら、単に"two"と書かれていることが「車2台(two cars)」だとはわからない。「アル・スミスとフーバーの二択だったから、注意してフーバーを選んだ」なんて一節もあるけれど、大統領選におけるフーバーの対抗馬が元ニューヨーク州知事のアル・スミスだったと知る日本人がどれほどいるだろうか。今のアメリカ人でも「?」となるかもしれない。

そういうこともあって、昨年までのビショッフ版ではこのナンバーをカットしてしまったのだろうか。ただ、すべての意味を包括して訳すのは不可能だとしても、アメリカ出身の演出家として私たちにビショッフなりのアメリカを提示してほしかった。個人的には、この曲は『アニー』の時代背景を理解するうえでの重要なカギだと思うからだ(別の場面で、メロディだけ使われることはあったが……)。

とはいえ、この曲がカットされても、「フーバービル」の実態はミュージカル『アニー』の中に生きている。当時、「フーバーブランケット(毛布の代わりに古新聞を使うこと)」、「フーバーフラッグ(何もないポケットを裏返しにすること)」などという言葉も造られたのだが、アニーが「フーバービル」に駆け込んだ際、皆が「フーバーブランケット」「フーバーフラッグ」を思わせる悲観的なことを次々と口にするのに対し、アニーがことごとく前向きな考え方で励ましてみせるシーンがある(筆者はここが大好きだ!)。このときアニーが皆に「1928年以来の楽観主義」と呼ばれるのは、フーバーが大統領に就任したのが1929年と考えると、「なるほど」と納得できるのである。

ちなみにこの曲に出てくる前述のアル・スミスだが、大統領選挙でフーバーに負けた後は、エンパイア・ステート会社の社長となって、エンパイア・ステート・ビルディングを建てた。それは1931年、クライスラー・ビルディングを抜いて当時世界一の高さになった。これらのビルの名前、『アニー』好きにはピンとくるだろう。そう、『アニー』は1933年の空気をきちんと描いているのだ。

さて、今年の『アニー』で、この「Hooverville We'd Like To Thank You Herbert Hoover」は歌われるであろうか? 毎年『アニー』キャストによる「Tomorrow」や「Maybe」の入ったCDが販売されるが、もし「Hooverville We'd Like To Thank You Herbert Hoover」が歌われる暁には、ボーナストラックにぜひこの曲をお願いしたい!

次回につづく

参考文献:
・『Annie』パンフレット(2000年、NETWorks/1978年、ウェスト・コースト・プロダクション/2013年、ブロードウェイ・リバイバル)
・トーマス・ミーハン著 三辺律子訳『アニー』(2014年、あすなろ書房)
・フリーマガジン『The Musical '88』(1988年、キョードー東京)
 



アニーになりたい筆者よりお知らせ
☆アニーのオーディションの様子などが見られる、2017「アニー」メイキング特番 オンエア日決定!

4月8日(土)10:30~ 日本テレビ(関東ローカル)
(※大阪・仙台・名古屋・上田の放送日は未定)
http://www.ntv.co.jp/annie/news/

公演情報
丸美屋食品ミュージカル『アニー』
 
<東京公演>
■日程:2017年4月22日(土)~5月8日(月)
■会場:新国立劇場 中劇場
 
<大阪公演>
■日程:2017年8月10日(木)~15日(火)
■会場:シアター・ドラマシティ
 
<仙台公演>
■日程:2017年8月19日(土)~20日(日)
■会場:東京エレクトロンホール宮城
 
<名古屋公演>
■日程:2017年8月25日(金)~27日(日)
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール
 
<上田公演>
■日程:2017年9月3日(日)
■会場:サントミューゼ大ホール
 
■料金:全席指定8,500円
[スマイルDAY]
4月24日(月)17:00公演
4月25日(火)17:00公演
全席指定:特別料金6,500円(税込)
[わくわくDAY]
4月26日(水)13:00公演 / 17:00公演
来場者全員にオリジナルグッズプレゼント
(「犬ぬいぐるみ」「ハート型ロケットペンダント」「アニーのくるくるウィッグ」「非売品Tシャツ(Sサイズ)」4点のうちいずれか1点をもれなくプレゼント)
(入場チケット持参で当日のみ引き換え。グッズによっては数に限りがあり、先着順となります。)
※ 4歳未満のお子様のご入場はできません。
※ チケットはお一人様1枚必要です。
■チケット一般発売開始:2017年1月14日(土)10:00~
 
■脚本:トーマス・ミーハン
■作曲:チャールズ・ストラウス
■作詞:マーティン・チャーニン
■翻訳:平田綾子
■演出:山田和也
■音楽監督:佐橋俊彦
■振付・ステージング:広崎うらん
■美術:二村周作
■照明:高見和義
■音響:山本浩一
■衣裳:朝月真次郎
■ヘアメイク:川端富生
■舞台監督:小林清隆・やまだてるお
 
■出演:
野村 里桜、会 百花(アニー役2名)
藤本 隆宏(ウォーバックス役)
マルシア(ハニガン役)
彩乃 かなみ(グレース役)
青柳 塁斗(ルースター役)
山本 紗也加(リリー役)
ほか
 
■主催・製作:日本テレビ放送網株式会社
■協賛:丸美屋食品工業株式会社
■公式サイト:http://www.ntv.co.jp/annie/​



2017「アニー」メイキング特番 オンエア日決定!
4月8日(土)10:30~ 日本テレビ(関東ローカル)
(※大阪・仙台・名古屋・上田の放送日は未定→決定次第お知らせ)
http://www.ntv.co.jp/annie/news/
■子供キャスト

<チーム・バケツ>
アニー役:野村 里桜(ノムラ リオ)
モリー役:小金 花奈(コガネ ハナ)
ケイト役:林 咲樂(ハヤシ サクラ)
テシー役:井上 碧(イノウエ アオイ)
ペパー役:小池 佑奈(コイケ ユウナ)
ジュライ役:笠井 日向(カサイ ヒナタ)
ダフィ役:宍野 凜々子(シシノ リリコ)
<チーム・モップ>
アニー役:会 百花(カイ モモカ)
モリー役:今村 貴空(イマムラ キア)
ケイト役:年友 紗良(トシトモ サラ)
テシー役:久慈 愛(クジ アイ)
ペパー役:吉田 天音(ヨシダ アマネ)
ジュライ役:相澤 絵里菜(アイザワ エリナ)
ダフィ役:野村 愛梨(ノムラ アイリ)

ダンスキッズ

<男性6名>

大川 正翔(オオカワ マサト)
大場 啓博(オオバ タカヒロ)
木下 湧仁(キノシタ ユウジン)
庄野 顕央(ショウノ アキヒサ)
菅井 理久(スガイ リク)
吉田 陽紀(ヨシダ ハルキ)

<女性10名>
今枝 桜(イマエダ サクラ)
笠原 希々花(カサハラ ノノカ)
加藤 希果(カトウ ノノカ)
久保田 遥(クボタ ハルカ)
永利 優妃(ナガトシ ユメ)
筒井 ちひろ(ツツイ チヒロ)
生田目 麗(ナマタメ レイ)
古井 彩楽(フルイ サラ)
宮﨑 友海(ミヤザキ ユミ)
涌井 伶(ワクイ レイ)

高畑充希、西川貴教らが今秋初来日の『ファインディング・ネバーランド』にコメント

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“ピーターパン”が誕生するまでの裏話を描いた、ブロードウェイミュージカル『ファインディング・ネバーランド』が、9月8日に東京に初来日する。記念すべき来日に向けて、ミュージカル『ピーターパン』にて6年間ピーターパン役を務めた高畑充希や、本作を国外で観劇したことのある西川貴教ら数々の著名人からコメントが届いた。

高畑充希

高畑充希

高畑充希(女優)
ピーターパンとして6年間空を飛び回っていた私ですが、こんな素敵な誕生秘話が隠されていたとは……。久々にうっとりと、あの世界に連れ戻してくれる作品でした。バリがなぜ、ピーターパンという男の子を創り出したのか。なぜ彼は永遠に子どもだったのか。『ピーターパン』を知っている方なら「あっ!」という小さな発見もたくさんあって、それも楽しみのひとつだと思います。人生に行き詰まっていたバリが、シルビアと、父親を亡くし心を閉ざした子供達と、遊びながら物語を紡いでゆく様子には心が痺れました。もちろん、ピーターパンやフック船長など、愛すべきおなじみのキャラクター達も登場します。演出と美術、楽曲も本当に美しく、エネルギーと夢にあふれたストーリーで、どんな世代の方でもワクワクできる作品だと思います。ぜひ劇場で、じっくりと。このキラキラした世界に浸ってください!

西川貴教

西川貴教

西川貴教(アーティスト)
実は昨年ニューヨークにレコーディングで訪れた際、この作品を観劇させて頂きました。主人公の劇作家バリ役をマシュー・モリソンさんが演じるということで期待していたんですが、出演期間を終えられていたようで残念……。しかしながら、作品自体はキャストもスコアも演出も素晴らしかったです。そんな『ファインディング・ネバーランド』が日本初上陸ということで、僕ももう一度ブロードウェイを感じに劇場に伺いたいと思います。

中井美穂

中井美穂

中井美穂(フリーアナウンサー)
大切な人を失ってもピーターパンの物語は永遠に生き続ける。子供たちがとってもキュートで、ピーターパンの登場人物たちも歌にダンスに大暴れ。私はクライマックスの演出に涙が止まりませんでした。ぜひ舞台でこそ見て欲しい、味わって欲しい、そんな作品です。

林真理子

林真理子

林真理子(小説家)
家族の愛と美しい音楽に満たされ、最後は泣きに泣きました。まだ自分がどこかに少女の心を持っているのだと心地よく再確認しました。


今回の日本公演を記念して、25歳以下の方には、通常のチケットより半額近い「U-25チケット」(当日引換券)が設けられることも決定した。チケット販売は、一般発売日の4月15日(土)10:00より発売開始となる。

キラキラと光るティンカーベル、右手がカギ型のフック船長、そして大人になることを拒むピーターパン。『ファインディング・ネバーランド』を観れば、ピーターパンで明かされなかった答えがきっと見つかるだろう。夢見る心を忘れかけた全ての人へ贈る、感動の物語。ぜひ劇場で『ピーターパン』誕生の瞬間に立ち会おう。

公演情報
ブロードウェイミュージカル「ファインディング・ネバーランド」

日時:2017年9月8日(金)~9月24日(日)
会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)

チケット:S席 13,000円 A席 11,000円 B席 9,000円 プレミアム席 15,000円(全席指定・税込)
※プレミアム席は1階席1列~13列の中央ブロック、2階席の前方席及び一部バルコニー席/公演プログラム1冊付。

作詞・作曲:ゲイリー・バーロウ、エリオット・ケネディ
脚本:ジェームズ・グラハム
演出:ダイアン・パウルス
振付:ミア・マイケルズ
主催:フジテレビジョン/キョードー東京/ホリプロ

公式サイト:http://theatre-orb.com/lineup/17_fnl

 

『FUN HOME』来年2月に日本版上演、瀬奈じゅん、吉原光夫、大原櫻子ら出演

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『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』が2018年2月、シアタークリエにて上演されることが発表された。家族の別れと再生、そして希望―が描かれる、傑作ブロードウェイ・ミュージカルだ。

本作は2013年9月にオフ・ブロードウェイで初演後、2015年3月にブロードウェイに進出。同年のトニー賞で、最優秀ミュージカル作品賞、最優秀ミュージカル脚本賞(リサ・クロン)、最優秀楽曲賞(ジニーン・テソーリ、リサ・クロン)、最優秀ミュージカル主演男優賞(マイケル・サーヴェリス)、最優秀ミュージカル演出賞(サム・ゴールド)の5冠に輝いた。

待望の日本上演の演出は気鋭の小川絵梨子が手掛ける。出演は、瀬奈じゅん、吉原光夫、大原櫻子、紺野まひる、上口耕平、横田美紀、ほか。

公演情報
『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』
 
■日程:2018年2月
■会場:シアタークリエ
■原作:アリソン・ベクダル
■作曲:ジニーン・テソーリ
■脚本・作詞:リサ・クロン
■日本版演出:小川絵梨子
■出演:瀬奈じゅん、吉原光夫、大原櫻子、紺野まひる、上口耕平、横田美紀、ほか
■製作:東宝株式会社
■公式サイト:http://www.tohostage.com/funhome

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』オリジナル・ヘドウィグが2017年10月日本初上陸、イツァーク役は中村 中

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ブロードウェイミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』特別公演が、2017年10月に東京・大阪で上演される。今回の目玉は、同作品の作者であり、オリジナル・キャストでもあるジョン・キャメロン・ミッチェルがヘドウィッグを演じることだ。さらに、イツァーク役で共演するのは、山本耕史主演の2007年版同公演でも同じ役を演じた中村中。演出は「銀河英雄伝説」シリーズなどを手がける演出家・ヨリコ ジュンが担当、音楽監督には森山未來主演の2012年版同公演に引続き、岩崎太整が担当することが決定した。

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、愛と自由を手に入れるため性転換手術を受けたものの、手術の失敗によって股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまった、男でもあり女でもあると同時にそのどちらでもないロックシンガー、ヘドウィグが、幾多の出会いと別れを経験し、傷つき倒れそうになりながらも己の存在理由を問い続け、「愛」を叫び求める姿を描いた傑作ロック・ミュージカルである。

1997年よりオフ・ブロードウェイで初上演され、ロングランを記録し世界各地で上演、2001年には映画化され、サンダンス映画祭観客賞、監督賞など数々の賞を受賞、マドンナやデヴィッド・ボウイなど数々のセレブリティ達も熱狂し、舞台・映画共に世界中に一大ブームを巻き起こした。2014年にはリバイバル作品としてブロードウェイに進出、トニー賞を4部門受賞という快挙を遂げ、2015年公演では、ジョン・キャメロン・ミッチェルによる「オリジナル」ヘドウィグ登場でトニー賞名誉賞が授与された。
 
日本語版公演としては、2004年、2005年にPARCO劇場他にて三上博史主演で初演を果たし全日ソールドアウトの大盛況、2007年、2008年、2009年には山本耕史主演で全編英語詞の歌唱で話題を呼び、2012年は森山未來を主演に、映画監督・大根仁演出のもと、日本を舞台としたオリジナル解釈のもと新たなヘドウィグ・ワールドを誕生させた。

ジョン・キャメロン・ミッチェルと中村 中から届いたコメントを紹介する。

【ジョン・キャメロン・ミッチェル】

日本のみなさん、こんにちは。今年10月に「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」特別公演のため、東京と大阪に来日します。イツァーク役で共演するのは、美しく素晴らしい才能の持ち主、中村 中。彼女は10年前にもイツァークを演じていて、彼女と共演できることが本当に嬉しいです。そして、ヘドウィグの物語を再びお伝えできることに、今からワクワクしています。ぜひ、ヘドウィグのことを知らないお友達を連れて観に来てください。私たちはみんな家族、そして新しい家族は大歓迎です。ヘドウィグから、愛をこめて。みんなにお会いできるのを楽しみにしています。

John Cameron Mitchell ©Nick Vogelson

John Cameron Mitchell ©Nick Vogelson

 


 
【中村 中コメント】

2007年の演出・鈴木勝秀、主演・山本耕史版へドウィグから早10年、ふたたび哀しくも美しいグラム・ロックバンド"ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ"の一員になり、スティーヴン・トラスクの素晴らしい楽曲と戯れられる日が来るなんて、運命は粋ないたずらをします。しかも今度はニューヨークのオフ・ブロードウェイ版でも映画版でも人々を魅了した"元祖ヘドウィグ"ジョン・キャメロン・ミッチェルと一緒だなんて、私は今幸運の雨を全身で浴び、心まで濡れています。映画版の"アングリーインチ"はドイツのヘドウィグ、ユダヤのイツァーク、アメリカや中国と様々な国籍のメンバーの集まりでした。アメリカ生まれのジョンと日本生まれの私が一緒に舞台に立ち、様々な壁を越え、愛し合い、最新の最高の"ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ"に成れたらと思います。

中村 中

中村 中

さらに今年はジョン・キャメロン・ミッチェルワールドを映画でも楽しめる。ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の新作映画“パンク少年 meets 宇宙人ガール”『HOW TO TALK TO GIRLS AT PARTIES』(原題)が12/1(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー。
 
1977年、ロンドン。パーティで出会い、パンクで結ばれた2人は、逃避行を決めるのだが──。斬新でビター&スイーツなボーイ・ミーツ・ガールの傑作。監督・脚本は、ジョン・キャメロン・ミッチェル、出演はエル・ファニング、アレックス・シャープ、ニコール・キッドマン(映画に関する問い合わせは、ギャガ宣伝部 TEL050-5810-1357 まで)

公演情報
HEDWIG AND THE ANGRY INCH
ブロードウェイミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』特別公演

 
■作:ジョン・キャメロン・ミッチェル
■作詞・作曲:スティーヴン・トラスク
■演出:ヨリコ ジュン
■音楽監督:岩崎太整
■キャスト:
ヘドウィグ:ジョン・キャメロン・ミッチェル
イツァーク: 中村 中
■制作協力:クオーレ
■運営協力:サンライズプロモーション東京

 
【東京公演】
■会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)
■日程:
10月14日(土)12:00開場/13:00開演 18:00開場/19:00開演
10月15日(日)15:00開場/16:00開演
3回公演 ※未就学児入場不可
■料金:S席 9,500円/A席 8,500円(全席指定・税込)
■発売日:7月29日 午前10:00より発売開始
■問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)

 
【大阪公演】
■会場:NHK大阪ホール
■日程:10月17日(火) 18:30開場/19:00開演 ※未就学児入場不可
■料金:9,800円 (全席指定・税込)
■発売日:7月29日 午前10:00より発売開始
■問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00-18:00)
■あらすじ
少年ハンセルは、自由の国アメリカに渡りロックスターになるのが夢だった。彼は幼少時に母親からプラトンの魅惑的な「愛の起源」の物語を聞かされる。以来、彼は自分の“カタワレ”を見つけようと心に決める。ある日、彼は偶然一人の男と出逢う。その男に見初められ、彼との結婚の道を選んだハンセルに待ち構えていたのは、アメリカへ渡るための“性転換手術”だった。しかし、手術を受けたハンセルの股間には手術ミスで「怒りの1インチ(アングリーインチ)」が残ってしまう。
その後、ヘドウィグを名乗り渡米を果すも離婚、ベビーシッターなどをして日々の糧を得つつ、ロックバンドを組むも、なかなか成功への道が見えず生活に追われていた毎日だった。やがて17歳の少年トミーに出逢い、愛情を注ぐようになるヘドウィグだったが、トミーはヘドウィグの曲を盗んでビルボードNo.1のロックスターに上り詰める。最愛の人に裏切られたヘドウィグは自らのバンド「アングリーインチ」を率いて、ストーカーのようにトミーの全米コンサート会場を追い、スタジアム脇の冴えない会場で巡業する。果たして、自分の魂である歌を取り戻し、捜し求めていた“カタワレ(=愛)”を見つけることができるのか…?

主演に浦井健治、ミュージカル『ゴースト』2018年8月にシアタークリエで上演

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ブロードウェイミュージカル『ゴースト』が2018年8月にシアタークリエで上演される。主演は浦井健治。

『ゴースト』は、1990年のヒット映画『ゴースト/ニューヨークの幻』を基に作られたミュージカル作品。脚本・歌詞は映画でも脚本を担当したブルース・ジョエル・ルービン。音楽・歌詞は、デイヴ・スチュワート(元ユーリズミックス)&グレン・バラード。2011年にイギリスのマンチェスターで初演後、ウエストエンドを経て、2012年ブロードウェイに進出した。オリジナル主演は、リチャード・フラーシュマン(サム・ウィート役)とケイシー・リーヴァイ(モリー・ジェンセン役)だった。

帰宅途中に暴漢に襲われ命を落としたサムは、幽霊となって恋人モリーの前に現れるが、彼女にはわからない。やがて自分を殺した男がモリーの命を狙っていることを知ったサムは、霊媒師の力を借りてモリーに危険を知らせようとするが……。

現時点で発表されている日本キャストは、浦井健治のみ(サム・ウィート役)。演出は『ミス・サイゴン』日本版で演出補を務めた英国人ダレン・ヤップ。その他は、続報を待とう。


Ghost the Musical - Official Trailer (HD)
 

ミミ役に抜擢された新星・青野紗穂が大阪でミュージカル『RENT』を語る

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『RENT』出演以来、日々「No day but today」です。

7月の東京公演からスタートした、ミュージカル『RENT』の2017年版ヴァージョン。今回新たに加わったキャストの中でもひと際目立っているのが、本作のヒロインとも言えるダンサー・ミミ役に抜擢された青野紗穂だ。数多くの名アーティストを輩出した、アメリカの[アポロ・シアター]のアマチュアナイト・キッズ部門で優勝するなど、世界も認める歌唱力が大きな武器。歌手としてはもちろん、ミュージカル女優としても将来性大な彼女が、8月から始まる地方公演に向けて、大阪で会見を行った。

『RENT』(東京公演ゲネプロより)[撮影]安藤光夫

『RENT』(東京公演ゲネプロより)[撮影]安藤光夫

■ミミの役を作るというよりも、等身大を大事にしようと。

──『RENT』のオーディションを受けることになった経緯を聞かせてください。

2014年頃から私のことを(『RENT』を主催する)東宝の方が知ってくださってたみたいで、今回のオーディションの際にお声がけいただきました。まさか受かるとは思いませんでしたし、演技をそんなにしたことがなかったので「演技ってどうすればいいんだろう?」みたいな所から始まりました。

──それまで『RENT』はご覧になってましたか?

中学生の時に映画版を観て、すごくステキな作品だなあと思ったんですけど、その時は若かったというのもあって「とても壮大な恋愛モノなのかな?」と。でも何回か観ていくうちに、世界に対して何かを訴えていたりとか、日々どうやって一生懸命生きていくかという、もっと大きなものを感じました。あと一番大きなテーマとして「愛とは何だ?」というのを、やっぱり考えさせられる作品ですね。

──演じるミミは、どんな女性だと思いましたか?

パッと見は「気の強い女の子」という印象がすごくあるんですけど、やっぱり繊細で、でも心の中では常に炎が燃えている感じ。あと女性の特徴みたいなものが、すごく強く出てると思いました。女性って、分単位で感情が変わる時ってあるじゃないですか?(笑)それがすごく大きいし、今を必死に生きるために選んだ選択が間違っていたとしても「それでも別にいい」と、変な開き直りがあったりする。でも私と同い年なのですごく親近感が湧きましたし、コネクトする部分が多かったです。

──それほど自分とかけ離れたキャラクターではなかったと。

そうですね。弱さを見せたくないけど誰かに助けを求めたい気持ちとか、AIDSなどのハンデに対する気持ちの重さだとか、その時その時の感じ方は結構私自身と近いものがありました。だからミミという役を作るというよりは、自分自身として生きる……等身大のものを大事にしようというのが、結構キーワードになったと思います。

──それでも稽古をする中で「やっぱりミミのここがわからない」みたいなことは出てきたのではないでしょうか?

比較的なかったかもしれないです。(歌の)技術に関しても「キツイな」みたいなのはあんまりなかったですし。ただ「自分を全部見せたらどうなるんだろう?」というのがあって、(稽古の)最初はそれがすごく怖くてできなかったんです。今までそういう機会って、あんまりなかったので。でも今回の演出家のアンディ(・セニョールJr.)さんや、キャストの皆さんに助けてもらいました。みんな家族みたいにすごく優しいので、何か安心して自分を全部さらけ出せたという感じです。あとヒールで走り回ったり、暴れまくってる子なので、舞台が終わるまで体力が持つかな? という心配はありましたね(笑)。でも一番抵抗があった……という言い方はアレですけど、ロジャーとのラブシーンが大変でした。ありません? そういうの。

──嫌というんじゃなくて、激しく照れますよね。

そうですよね。やっぱり集中してないと「あ、観られてる、みんなに。どうしよう」とかなっちゃいますし。あと相手が大先輩というのもあって「すみません、今から行かせていただきます」みたいな気持ちが結構強かったです。でも(ロジャー役の)堂珍(嘉邦)さんもユナクさんもすごく優しくて、お稽古の時からコミュニケーションを取ってくださっていたので、今は大丈夫です。慣れることはないですけど(笑)。

──Wキャストのジェニファーさんとは、ミミについて話し合ったりはしたんですか?

あまりディスカッションというのはなかったです。ただジェニさんからは「自分に自信を持って、自分に正直にやれば大丈夫」という風には言われました。困った時は本当に親身になって助けてもらったし、自信をなくした時はすごく支えていただきましたね。

『RENT』でミミを熱演する青野紗穂(東京公演より)。

『RENT』でミミを熱演する青野紗穂(東京公演より)。

■ロジャーのお二方がイケメンなので、毎日メロメロです(笑)。

──公演初日の時の気分はいかがでしたか。

やはりお稽古場とは空気が違うので、緊張もありましたけど、比較的落ち着いてできたかなとは思います。ステージ上で生きる時って、やっぱり皆さんの気持ちがギュッと一つになりますし、その中でまた愛が生まれる部分もありました。日によって感じるものが違ったりもするので、今はやっていてとっても楽しいです。

──特に好きなシーンや歌はあります?

一番好きな歌は、コリンズが歌う『アイル・カヴァー・ユー​(リプライズ)』です。一生これから先、出会えないぐらい大切な人をなくしたという、その愛情を歌で感じられるのがすごく好きです。でもシーンとしては『ライト・マイ・キャンドル』が一番ですね。初めてミミがロジャーと出会う、私にとってすごく大事なシーンだと思います。

──ある恋愛モノの舞台に出てた人が「毎日舞台上で恋に落ちるのって大変ですよ」と話してたのですが、やはり「大変だなあ」って思いますか?

いやでも、ロジャーのお二方がイケメンなので(一同笑)。とってもイケメンで、しかもすごくステキな声なので、もう毎日メロメロになります。しかもそれが日替わりなのだから、贅沢ですよね……こんなこと言っちゃっていいのかな?(笑)

──堂珍さんとユナクさんのロジャーには、どんな違いを感じますか?

ロジャーが歌う『ワン・ソング・グローリー』という曲があるんですけど、その歌詞の「残り少ない時間をどう過ごしていくか」ということに対しての気持ちが違うなあ、と思います。堂珍さんは「これから死ぬまでの時間」をカウントしていて、ユナクさんは「どれだけ生きられるか」の方をカウントしてる感じがすると、特に最近強く思うようになりました。あと他人に対する拒絶の仕方や笑顔の向け方、包み込むような愛情の表現も全然お二方とも違うので、とっても楽しいですね。

──この舞台に出演されたことで、自分の中で何か変化を感じたことは。

自分に正直になった気がします。今感じていることに対して正直に生きていたいとか、毎日を気をつけて大事にしたいとか。日々「No day but today」(注:『RENT』に出てくる有名なフレーズ)ですね。

──ミュージカルを初めて経験したことで、歌手としても何か刺激を受けたかと思いますが。

でも今回の『RENT』に関しては、あまり自分の中で「演技をしている」という感覚がないので、歌手としての自分と、ミュージカルをやっている自分の差はあまりないなあと思います。ただ、以前よりも言葉を大事にしたり、その意味をもっと深く考えたりするようになったというのはあります。それってやっぱり、歌手としてやっていくのにもつながる部分ですよね。

──ではミミとはまったく別の、自分とはかけ離れたようなキャラクターを演じる作品に出たら、また違う発見があるかもしれませんね。

かもしれないですね。『RENT』って自分をさらけ出してナンボというものだし、人対人のぶつかり合いだったり、愛し合いだったりっていうのが多かったりするので。それって日々生きていく中で普通にあることなので、普段の自分とあまり変わらないままで来たかもしれません。でもミュージカルは、一人で(ステージに)立ってる時より、緊張が半分ぐらいですみます。やっぱり周りの大先輩方が、何かあったら助けてくださるという信頼関係があるので、その点では一人で歌ってる時より楽かもしれない(笑)。今後もミュージカルを続けていければいいですね。

チャリティ・デイで歌う『Love Heals』も「すごくいい歌詞なのでぜひ聞いてほしい」と語る青野紗穂。 [撮影]吉永美和子

チャリティ・デイで歌う『Love Heals』も「すごくいい歌詞なのでぜひ聞いてほしい」と語る青野紗穂。 [撮影]吉永美和子

──出てみたい作品ってありますか?

えー? 考えたこともなかったなあ……『レ・ミゼラブル』は挑戦してみたいです。革命の話で、ちょっと『RENT』に近い所もありますよね。主題とか、時代とか、国は違えども。何かやっぱり、そういう作品に惹かれるんですかね? いつか出られるよう頑張ります!

──これから地方公演が続きますが、その地域の皆様に向けてメッセージを。

やはり長年上演されているものなので、意味合いがすごく深かったりするんですけど。でも音楽がすごく楽しいとか、ライブ感覚で観られる部分もあるので、自分が参加した気持ちで楽しめる作品だと思います。なのでぜひ、遊びに来てください……超宣伝っぽい(笑)。

取材・文=吉永美和子

公演情報
ミュージカル『RENT』
 
<東京公演> ※公演終了
■日程:2017年7月2日(日)~8月6日(日)
■会場:シアタークリエ
 
<名古屋公演> ※公演終了
■日程:2017年8月10日(木) 
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール
 
<大阪公演>
■日程:2017年8月17日(木)~22日(火)
※18日は「チャリティ・デイ」で様々なイベントを実施。詳細は公式サイトでご確認を。
■会場:森ノ宮ピロティホール
 
<福岡公演>
■日程:2017年8月26日(土)・27日(日)
■会場:福岡市民会館
 
■脚本・歌詞・音楽:ジョナサン・ラーソン
■演出:マイケル・グライフ
■日本版リステージ:アンディ・セニョールJr.
■出演:
マーク:村井良大
ロジャー:堂珍嘉邦/ユナク(超新星)
ミミ:青野紗穂/ジェニファー
コリンズ:光永泰一朗
エンジェル:平間壮一/丘山晴己
モーリーン:上木彩矢/紗羅マリー
ジョアンヌ:宮本美季
ベニー:NALAW(CODE-V)
新井俊一、千葉直生、小林由佳、MARU、奈良木浚赫、岡本悠紀、長尾哲平(Swing)
■公式サイト:http://www.tohostage.com/rent2017/

 

ミュージカル『メリー・ポピンズ』日本上演決定! ディズニー×C・マッキントッシュ最強タッグ作品

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ミュージカル『メリー・ポピンズ』が、2018年3月~東京・東急シアターオーブ、同年5月~大阪・梅田芸術劇場で日本語上演される。主人公の家庭教師メリー・ポピンズ役を、濱田めぐみ平原綾香がダブルキャストで演じる。

ミュージカル『メリー・ポピンズ』は、パメラ・トラバースの小説を基に、ウォルト・ディズニー自身が自らの手で製作し世界的に大ヒットした映画「メリー・ポピンズ」(1964年全米公開。アカデミー賞5部門受賞。※ちなみに、この映画製作秘話は映画「ウォルト・ディズニーの約束」に詳しい)を、ミュージカル舞台化した作品。2004年に英ウエストエンド初演、2006年に米ブロードウェイ初演。その後世界10か国以上で10年以上に渡って上演されてきた。シャーマン兄弟作曲による「チムチムチェリー」「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」をはじめとする劇中ナンバーは名曲揃い。そして、ミュージカル舞台版の振付は、鬼才マシュー・ボーンが手掛けている。

オリジナル・プロダクションはディズニーとキャメロン・マッキントッシュという最強タッグによる共同製作。マッキントッシュは、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『キャッツ』『オペラ座の怪人』など世界的大ヒット作を次々と世に送り出した英国の天才プロデューサーであり、今年2017年11月ロンドンで開幕の『ハミルトン』ロンドン版も彼が手掛けている。

2018年日本版の主催・企画製作は、ホリプロ/東宝/TBS/梅田芸術劇場の4社。東京と大阪で、のべ約17万人を動員する日本最大級の公演となる。

日本オリジナルキャストは、全キャスト本国スタッフによるオーディションを経て決定した(役柄によっては2年以上の期間を要したという)。メリー・ポピンズ役には(ダブルキャスト)、濱田めぐみ&平原綾香。また、バート役には(ダブルキャスト)、大貫勇輔&柿澤勇人。

なお、2018年は映画「メリー・ポピンズ」の約50年ぶりとなる新作続編映画「メリー・ポピンズ・リターンズ(原題)」の全米公開(12月)も予定されている。 

ミュージカル『メリー・ポピンズ』出演者のコメントが届いたので紹介する。

メリー・ポピンズ役・濱田めぐみ
オーディション開始から合格までの道のりが、今まで受けてきた作品の中で一番時間を要し、大変な作品でした。 
映画として全世界から愛され、各国で、舞台でも演じられているメリー・ポピンズ。 
この作品が 御覧になる皆様にとって、そして関わる皆様にとって 大切な大切な出逢いになりますよう、誠心誠意全力で努めさせていただきます。よろしくお願いします。 
 
メリー・ポピンズ役・平原綾香
まさか、傘で空を飛べる日がくるなんて、思ってもみませんでした。 映画でメリー・ポピンズを演じたジュリー・アンドリュースさんとは、いろいろとご縁があり、以前は「サウンド・オブ・ミュージック」の歌とセリフの吹き替えを担当させていただいたことがあります。家庭教師役ともご縁があるみたいです。 映画版の、聡明なメリーのイメージが強かったのですが、ミュージカル版は、聡明さに“笑い”の要素も加わるの で、すごく面白いミュージカルになりそうです!
ちなみに、メリー・ポピンズは宇宙人なんですって!知りませんでした……。 そういうことなら、私も“Jupiter”なので、ある意味、ハマり役かもしれません。 
 
バート役・大貫勇輔
出演が決まった時はとにかく、本当に嬉しかったです。長い期間のオーディションを経て、このバートという役を演じることができ、とても興奮しています。 この作品は家族の愛や子どもの成長を、夢や希望、ユーモアで優しく明るく描いていて、観ていてあたたかい気 持ちにさせてくれるミュージカルだと思います。 
僕の舞台人生全てをかけるつもりで稽古も本番も臨みます。 そして、誰よりも楽しんでこのバートの役を演じ切りたいと思います! 
 
バート役・柿澤勇人
人生で初めてNYに降り立ったその日の夜に観た作品が『メリー・ポピンズ』でした。時差ボケを吹っ飛ばすほどのエネルギー、会場にいる老若男女みんなが笑顔で帰って行く光景に圧倒された、印象的な作品でした。 数年後の今、自分がまさか『メリー・ポピンズ』の煙突掃除夫役のバートで出演することになるとは想像も出来ませんでした。今の自分にとっては新たな挑戦の作品です。 子供から大人まで全ての人が幸せになる作品になると信じています。必死に汗を撒き散らして踊る柿澤を観に、そして心が満たされる作品を体験しに劇場までお越しください。 
お待ちしております。
 
ジョージ・バンクス役・駒田  一
36 年前、まだ 17 才。劇団のコンサートで「チムチムチェリー」「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」を歌った。物凄くドキドキし、物凄くワクワクした事を今でも覚えています。 シャーマン兄弟の素敵な音楽。素敵な作品。ミュージカルの素晴らしさを教えてくれた『メリー・ポピンズ』。 今回それがなんと父親役。36年前には想像もしなかったなぁ。 オーディションは大変だったけれど、既に稽古をしてるみたいで楽しかったです。合格した時はホッとするのと 同時に、背筋がピンとし、足がつりました。今は36年前とは違うドキドキワクワク感がある。 悩んで苦しんでそして楽しくなるように頑張りますね! 
うん、足がもつれないように。 
 
ジョージ・バンクス役・山路和弘
子供の頃、好きだった叔父に連れられ見た映画「メリー・ポピンズ」。 傘をさし、風に乗って飛んで行く姿が目に焼き付いています。 ネット上などで、この舞台の映像を見ると、おーっ!飛んでる飛んでる! それに、あの装置はどうなっているんだろうと気になるところです。 皆さんお楽しみに、という前に、今、一番楽しみにしているのは私の様です。
 
ウィニフレッド・バンクス役・木村花代
ウィニフレッド・バンクス役として日本初演オリジナルキャストに選んで頂き、また素晴らしいキャスト・スタッフの皆様と共演できる事は、私の人生の中で大きな転機であり神様からの最大のプレゼントだと思っております。合格の通知をいただいた時は正直、嬉しすぎて号泣しました。 長いオーディション期間の中で海外スタッフの方々から役についての細かいディスカッションを何度も受け、バンクス夫人が自分の中でどんどん愛おしい存在になって参りました。 誰からも愛されるキャラクターを持ち前の明るさで大胆にエネルギッシュに演じて参りたいと思います。 
 
ウィニフレッド・バンクス役・三森千愛
小さいころから大好きで、いつも見ていた映画「メリー・ポピンズ」。傘をさして空を飛べるか挑戦してみたり、メリーにお手紙を書いた子供の頃。長いオーディションを経てこの大好きな大好きな作品の日本初演にウィニフレッド役で出演が決まったときは、 興奮が抑えられず思わず叫んでしまいました。
今は楽しみであると同時に身の引き締まる思いでおります。メリーに逢える。バンクス家の子供たちよりも楽しみにしているのは母の私かもしれません。皆様の心に残る素晴らしい作品となるよう全身全霊でつとめさせていただきます。
 
バードウーマン/ミス・アンドリュー役・島田歌穂
あまりに沢山の名曲が詰まっていて、何度も映画を見返してきた大好きな「メリー・ポピンズ」。 ブロードウェイで舞台版を観た時の感動は忘れられません。その舞台に立たせていただけることは夢のようです! 思いきり意地悪に、思いきり温かく、大切な二役への挑戦、頑張ります!
 
バードウーマン/ミス・アンドリュー役・鈴木ほのか
名曲「鳩にエサを」を唄う心優しい謎の女バードウーマン、冷徹で圧倒される存在感の、いつかは演じてみたかったディズニーの悪役ミス・アンドリュー。 この対極の二役を同時に演じられる事を、心から感謝しています。 
 
ブーム提督/頭取役・コング桑田
イエス!やったね~
オーディションに通って足かけ3年。やっとこでした~で、決まってから数ヶ月。まだ発表できずに、やっと公表! イエス!本当にやったね~ オーディションを受けた仲間との会話で黙っているのは 辛かったす。 解禁ってこんなにも気持ち良いとは。 あ!ダブルキャストで。パパイヤさん、初めましてです~ カタカナ&苗字枠よろしくお願いします。
お稽古までもう一度、『メリー・ポピンズ』映像をチェックしたり、膝を鍛えたりしますが、駒田一さんとの共演ですから、肝臓鍛えておきます。 
皆さん、劇場でお会いしましょう。お楽しみに! 
 
ブーム提督/頭取役・パパイヤ鈴木
ミュージカルってやっぱり楽しいですよね! 特に『メリー・ポピンズ』はファンタジー溢れる作品なので、キャストもゲストの皆さんも夢のような体験ができると思います。 キャストに選ばれた時は、嬉しさと期待と不安で少し混乱しましたが、今は夢に向かってまっすぐ突き進んでいます。 
ダンサーになってから今年で35年が経ちました。今までやって来た事を最大限に活かし、皆さんに楽しいひと時を過ごしてもらえたら、これ以上嬉しい事はありません。このミュージカルがこれから先、何十年と続くような名作になるよう、頑張っていきます! 応援よろしくお願いします! 
 
ミセス・ブリル役・浦嶋りんこ
ミセス・ブリル役に決まったと聞いた時……正直なところホッとしました。長期に渡るオーディションだったので…笑 そのオーディションで、とても難しい役どころだと思いましたから、果たして短い審査時間の中で、役に起用出来る可能性を認めてもらえたのか、不安でした。合格の知らせを頂いた時はガッツポーズです! 決まった!となれば後はぶつかるだけ!です! 素敵な物語に年齢問わず入り込めるよう、丁寧に大胆に演じられればと思います! 
皆さま 劇場でお待ちしております!! 
 
ミセス・ブリル役・久保田磨希
何者にもなれると思っていた子供の頃、空想するのが大好きだった子供の頃。 憧れて欲しかったものは、煙突のある家、面白い大人、そして、空を飛べる傘。 まさに、『メリー・ポピンズ』の世界です。 何度、晴れた日に傘をさしてジャンプしたことでしょう。その、『メリー・ポピンズ』が舞台化される! その、『メリー・ポピンズ』に自分が出演する! 
嬉しさ100%と怖さ100%のせめぎ合いです。 オーディションを受けたものの、正直、まさか受かるとは思ってもいませんでした。 私にとっては初めてのことずくめで、その上、このキャスト・スタッフ陣。凄すぎて身震いするほどですが、やりきります!どうぞ、お楽しみに!! 
 
ロバートソン・アイ役・小野田龍之介
遂に超大作『メリー・ポピンズ』が日本初上陸。この作品は、様々なジャンルにおいて非常に高いパフォーマン ス能力が必要とされる作品だと思います。そのカンパニーの一員になれたこと、携われること、非常に嬉しく光栄に思います。そして念願のディズニー作品。僕は昔からディズニーが大好きで、ずーーーっと関わりたかったので本当に嬉しいです。しかもキャメロンカンパニーとのタッグ!このタッグに携われるのは本当に幸せです。皆様に楽しんでいただける最高の開幕を目指して、気合い入れて稽古に取り組んでいきたいと思います。 
 
ロバートソン・アイ役・もう中学生
オーディションを受けて出演が決まったときは、うれしさ・幸せとご一緒に、「どうしよう…大丈夫かな…。」とゆう気持ちになりました。ちょうど、ご連絡いただいたとき、「コント えりあし」とゆうネタを楽しんで作っていたときだったので、「(おこがましいのですが)今のまま、楽しく出させていただこう!」と。
『メリー・ポピンズ』は、す・べ・て、が魅力的な作品です。 長野の実家で野菜を育てていて、夏には、キュウリ、ナス、トマトなどなどたくさんの野菜が採れます。その隙間に、フワッとシソがなります。そのシソのように、「にぎやかに!そして、うまみアップ!」を目指して日増しに学んでゆきたいです。 
 
あらすじ
たくさんの問題を抱えた一家、バンクス家。
バンクス夫妻の子供たち、聞き分けのないジェーンとマイケルには、新しい家庭教師が必要で、両親、とりわけ父親のジョージ・バンクスは、しつけに厳しい人物を探していました。 そこに現れた謎めいた女性、メリー・ポピンズ!
次々と巻き起こる事件を通じて、バンクス一家は、彼女こそが完璧な家庭教師だと気づいていきます。子供たちはメリー・ポピンズに導かれ摩訶不思議で、忘れられない冒険の数々を体験しますが、 彼女の不思議な力に巻き込まれるのは、ジェーンとマイケルだけではなかったのです――――。 
 


ミュージカル『メリー・ポピンズ』世界での上演履歴 

2004年9月18日〜11月6日 イギリス・ブリストル   ヒッポドローム劇場(ワールドプレミア) 
2004年12月15日〜2008年1月12 日 イギリス・ロンドン   プリンス・エドワード劇場 
2006年11月16日〜2013年3月3日 アメリカ・NY  ブロードウェイ   ニュー・アムステルダム劇場 
2008年6月4日〜2009年4月18日 イギリス UK ツアー 
2009年3月11日〜2013年6月2日 アメリカ  US ツアー 
2008年10月18日〜2009年3月14日 スウェーデン ヨーテボリ   オペラハウス 
2009年8月11日〜2010年5月8日 フィンランド ヘルシンキ・シティ劇場 
2009年9月 ハンガリー ブダペスト 
2010年4月〜2011年8月28日 オランダ  スヘフェニンゲン フォルティス・サーカス劇場 
2010年7月14日〜2011年4月1日 オーストラリア  メルボルン ハー・マジェスティー劇場 
2010年11月 チェコ共和国  ブルノ
2011年4月〜12月17日 オーストラリア  シドニー  キャピトル劇場
2011年11月 エストニア  タルトゥ  ヴァネムイネ劇場 
2011年12月30日〜6月 オーストラリア  ツアー 
2012年10月18日〜12月30日 ニュージーランド  オークランド  シヴィック劇場 
2012年11月14日〜2013年8月11日 メキシコ  メキシコシティ 
2013年2月22日 アイスランド  レイキャヴィーク・シティ劇場 
2014年10月1日〜2016 年1月31日 オーストリア   ウィーン   ロナハー劇場 
2015年10月13日〜2017年1月14日 イギリス UK ツアー 
2017年8月11日〜2018年1月28日 ドイツ  シュトゥットガルト   ステージ・アポロ劇場
 
 
公演情報
ミュージカル『メリー・ポピンズ』
 
<東京公演>
■会場:東急シアターオーブ
■会期:2018年3月~

 
<大阪公演>
■会場:梅田芸術劇場 メインホール
■会期:2018年5月~

 
■公式ホームページ:http://marypoppins2018.jp
■公演に関する問い合わせ:ホリプロチケットセンター 03-3490-4949
(平日 10:00-18:00 /  土曜 10:00-13:00 / 日祝・休)

 
■出演キャスト:
メリー・ポピンズ=濱田めぐみ/平原綾香
バート=大貫勇輔/柿澤勇人
ジョージ・バンクス=駒田一/山路和弘 
ウィニフレッド・バンクス=木村花代/三森千愛
バードウーマン/ミス・アンドリュー=島田歌穂/鈴木ほのか
ブーム提督/頭取=コング桑田/パパイヤ鈴木 
ミセス・ブリル=浦嶋りんこ/久保田磨希 
ロバートソン・アイ=小野田龍之介/もう中学生

*上記キャストはダブルキャストになります。
五十嵐耕司 石川剛 大塚たかし 風間無限 工藤広夢 斎藤准一郎 高瀬育海 田極翼 丹宗立峰  照井裕隆  長澤風海  樋口祥久  三井聡 武藤寛 
青山郁代 石井亜早実 エリアンナ 岡本華奈 工藤彩 熊澤沙穂 小島亜莉沙 髙田実那 中西彩加  般若愛実 藤咲みどり 
(50音順)

【訃報】トーマス・ミーハンさん~『アニー』『プロデューサーズ』『ヘアスプレー』の脚本家

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『アニー』『プロデューサーズ』『ヘアスプレー』などブロードウェイのヒット・ミュージカルの脚本家として知られるトーマス・ミーハンさんが、アメリカ現地時間の2017年8月21日にニューヨーク市の自宅で死去した。享年88。死因は癌。5か月前に手術を受けたが、その後の経過が芳しくなかったと見られる。

ミーハンさんは、1929年ニューヨーク州生まれ。雑誌「ニューヨーカーズ」勤務を経て、1977年にミュージカル『アニー』の脚本を執筆、ブロードウェイ・デビューを果たすと同時に大ヒットを飛ばした。この『アニー』、そして『プロデューサーズ』(2001年)、『ヘアスプレー』(2002年)により、トニー賞最優秀ミュージカル脚本賞を3度も受賞した。

他に、現在日本で上演中のミュージカル『ヤング・フランケンシュタイン』(東京 ~9/3、大阪 9/7~9/10)や、ミュージカル『ロッキー』など数多くのブロードウェイ作品の脚本を手掛けてきた。

日本では現在、ミーハンさん自身が執筆したミュージカル『アニー』のノベライズ本(あすなろ書房刊)が入手可能。これについては現在SPICEで連載中の「【THE MUSICAL LOVERS】ミュージカル『アニー』」 でも、しばしば言及されている。

ミーハンさんの死に際して、メル・ブルックス(『プロデューサーズ』『ヤング・フランケンシュタイン』の原作者)は「私たちは劇場の巨人を喪失した」とTwitterで表明。リン-マニュエル・ミランダも「最高の一人だったミーハンさん、安らかにお眠りください」と呟いた。


ミュージカル『RENT』モーリーン役で注目を集める紗羅マリーに聞く 「ステージ上に敵は一人もいない」

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2017年7月の東京公演からスタートした、ミュージカル『RENT』の2017年版ヴァージョン。今回新たに参加したキャストの一人としてモーリーンを演じ、注目を集めているのが紗羅マリーだ。13歳の時からモデルとして活動を始め、国内外の数々のファッションショーにも出演するなど人気を博してきた彼女、2010年に歌手デビューも果たし、さらに2018年春にはヒロイン役を演じた映画『ニワトリ☆スター』が公開される予定だ。そんな中、今回の『RENT』で、初めて舞台に挑戦した。しかも、オリジナルであのイディーナ・メンゼルが演じたモーリーンという難役を独自のセンスで演じ、異彩を放っている。その感想や手ごたえなどについて、話を聞いた。

■ジョナサン・ラーソンに認めてもらえるように

--まず、ミュージカル『RENT』に出演された経緯から教えていただけますか。

マネージャーを通じて「オーディションに参加しませんか」と、東宝さんから声をかけていただきました。ただ、そのオーディションが2日後だというのです。それまで私は、演技をしたこともないし、ミュージカルはおろか舞台も未経験でした。でも面白そうだったので「選考に落ちてもいいから、一回チャレンジしてみようか」と。それで、受けてみたら、最終的に受かっちゃったんです。

--ご自身では、選ばれた勝因はどこにあったと思いますか。

全然わからないんです。自分では、オーディションを受けて「絶対に落ちた」と思っていたんですから。

オーディションでは、はじめからモーリーン役を前提として「声を聴きたい」と言われました。それで『RENT』のナンバーを2曲おぼえていって歌ったのですが、原曲のモーリーンの声のキーが私の声よりも遥かに高いんです。だから、全然うまく歌えず「落ちたな」って思いました。マネージャーにも「これは落ちた」って、すぐにメールして(笑)。ただ、そうなってみると、「あ~“オーヴァー・ザ・ムーン”歌いたかったなあ~」なんて、家で悔しがっていたんです。ところが何週間か後に「最終選考に残っている」と連絡が来たんです。それで、アメリカからアンディ・セニョールJr.(日本版リステージ担当)がやって来た最終オーディションを受け、その結果、決まったのです。

--アンディ・セニョールJr.からは選ばれた理由について何か言われませんでしたか。

はい、何も。誰も教えてくれません(笑)。

--ミュージカル『RENT』との出会いについてお聞かせください。

もともと私、『RENT』って知らなかったんです。オーディションのお話をいただいてから初めてブロードウェイの舞台映像を見て、衝撃を受けました。私はミュージカルって映画でしか見たことがなく、舞台では見たことがなかったんですが、なにやらすごく面白そうだって。内容もありきたりなものではなかった。バイセクシャルだとかエイズなどが描かれ、濃厚で刺戟的でしたね。これを作った人も作品に命を捧げているな、と。その熱意がとても伝わって来て、人生に刺激を与えられた感じでした。

--作者のジョナサン・ラーソンは、1996年、オフ・ブロードウェイ・プレビュー公演初日の直前に急死したんですよね。

ええ。そのことも、最初にウィキペディアで調べて知りました。それもすごい話ですよね。運命的というか、そういうのってあるんだなあと思いましたね。何かを伝えたくて『RENT』を作った彼が、もう亡くなっている。当然、彼は私の演じるモーリーンを見れないし、ジャッジメントもできない。それだけに演じる上での責任感はありますね。彼に直接見てもらうことはできなくても「君はモーリーンだよ」と認めてもらえるようにやっていかなければ、と。

--オーディションに受かってからも、『RENT』のことは調べ続けていましたか。

はい。映画も見ましたし、関連音源も色々聴きました。また、作品の時代背景を知るための材料にもあたりました。どうしても、その時代(1990年前後)、その場所(ニューヨーク)に生きていたわけではないので、そこに自分がきちんと立っていられるように調べました。でも、その作業はとても面白かったですね。

--1990年前後のニューヨークはものすごく荒れていたようですね。

ですよね。私もきれいになってからのニューヨークしか行ったことがないんです。当時の写真や映像を見ると、ちょっと歩いただけで運が悪ければ殺されてしまうといったような印象があって、本当にみんな運だけで生きているだろうなあと思いました。

--モーリーンに選ばれたことについての感想は?

オーディションを受けるに際して『RENT』のことを調べていくうちに、登場人物の中で一番やってみたい役はモーリーンかもって思っていたんです。わりと、自分に近いな、と。突発的に何かをやろうとして立ち上がるかと思えば、好きじゃないことには何も興味を示さないとか(笑)。もちろんモーリーン像のイメージは人それぞれによって受け止め方が違うとは思いますが、私の中のモーリーンは、閃いたことや直観で行動する人、そして一回腕を振り上げたら絶対に下ろさない人……ですね。実際に今、私はそういうふうにモーリーンを演じています。周囲も、それを許してくれました。そのままでいいよって。

--たしかに、紗羅さんご自身も、自由奔放に幅広く色んな活動をしてこられて、モーリーン役にピッタリです。

周囲の皆さんに目をつぶっていただいているおかげです。有難いことです。

■何が正解かがわからない宿題

--そんなモーリーン役を作ってゆくにあたり、稽古場では順調でしたか。

全然、順調になんか行かなかったです。やはり一番の悩みの種はキーの高さでした。私はバンドでヴォーカルを担当していますが、それはパーティー・バンドみたいなものなので、正しい舞台の発声法などは知りませんでした。それで今回はヴォイス・トレーナーの先生についていただいて、本番までに高いキーが出るように練習を重ねてきました。

そして、もうひとつはモーリーンがパフォーマーであること。そのパフォーマンスの動きも、自分なりに思い描いて作らなければいけないんですね。稽古場でアンディから、いきなり「はい、じゃぁ“オーヴァー・ザ・ムーン”をやって」と言われて、「え? 何もフリがないところでやるんですか」と聞き返すと、「紗羅の“オーヴァー・ザ・ムーン”をやってくれればいいんだよ」と。これは「モーリーンはパフォーマーなのだから、あなた自身もパフォーマーにならないと」という意味なんです。「一日あげるから、明日の稽古までに作ってきて」と宿題を出され、自宅で一人で作りました。何が正解かがわからない宿題でしたから、かなり悩みましたね。

それで、私の“オーヴァー・ザ・ムーン”では、私の好きなエルヴィス・プレスリーをモデルにしてみました。といっても、単にエルヴィスの物真似をするわけではなく、ロッカーっぽく腕を振り回すなどの要素を牛のエルシーの中に巧みに取り込んだりしたんです。

--そうだったんですか。あー、なるほど。……で、アンディ・セニョールJr.に見せたら何と?

爆笑してました(笑)。「いいね、いいね」と。

--今回の『RENT』では、ダブルキャストで上木彩矢さんがもうひとりのモーリーンです。上木さんとはコミュニケーションをとることはあるのですか。

はい。上木さんには本当に優しくしていただいてます。上木さんは前々回も前回も『RENT』に出演されていますが、今回初めて参加するキャストたちに肩身の狭い思いをさせるのは嫌だと言ってくれて、あっという間に稽古場に溶け込むことができました。本当は「敬語もなしね」と言われているんですけど、わざと敬語で話しかけて「彩矢さん」て呼ぶと、すごく恥ずかしがるので、それは私が楽しんでやっています(笑)。

--モーリーンの演じ方について上木さんと話したりすることは?

それは一切ないですね。それぞれ個々にモーリーンの受け止め方がありますからね。

--紗羅さんは今回が初の舞台出演ということでしたが、これまでモデルさんとして、あるいはシンガーとして立ったステージとは、やはり違うものですか。

全然違いましたね。私の参加してるバンドだと何かあったりするとやり直しがきいたりもしました(笑)。でも、演劇だと1ミリも間違えてはいけないというのが前提としてありますから、責任感も、緊張の度合いも違いますね。

『RENT』って、けっこう高い場所で動くことが多いんです。“オーヴァー・ザ・ムーン”も、稽古場でやっている高さに比べて、シアタークリエの舞台上だと体感で10メートルくらい高さが増している感覚です。これが地方のもっと大きな会場だと、もっと高くなります。だから、落ちたら本当に危ないぞと、はじめの頃は私も相当ピリピリしてました。「本当に気をつけましょう」とみんなで声をかけあって。

--その意味では、ミミも“アウト・トゥナイト”とか危ないですよね。

そう! ミミも危ない。また、慣れてくると油断につながるから、結局いつだって危ないんです(笑)。

ステージ上に敵は一人もいない

--“オーヴァー・ザ・ムーン”では観客の反応は上々ですか。

はい。もちろん日によって違いはありますけどね。お客様も、私が次に何をやるか分かって来てるようで、やる前から笑いが起きたりするんです。有難いことですが、心の中で「ちょっと待って! まだそのシーンになってないんですけど」みたいな(笑)。でも、モーリーンのやってることは本来、抗議集会なんですよね。

--そういえば、そうでしたね。見てるうちに、そのことをつい忘れちゃいます。

そうなんですよね(笑)。そうなんだけれど、でもあれは第一に抗議集会なので、そんなにファニーなことをやってるわけではないし、後ろに警察隊がいて、今にも止められそうな状態の中であのパフォーマンスをやっている。そのヒリヒリした感覚はなくしたくないんです。だから、皆さんにも、そういう感情で、最後に「ムー」といっぱい声を出していただきたいですね。

--『RENT』ではソロ以外の曲も名曲揃いですが、例えば“シーズンズ・オヴ・ラヴ”をみんなで歌っている時はどんな気持ちなのですか。

ステージ上に敵は一人もいない、舞台はみんなで支え合って作るもの、何があっても大丈夫だから……っていう仲間たちが私の横にずらーっと並んでいる中で、すごく安心して歌っています。お母さんのお腹の中に帰ったような感覚ですね。「あったか~い」みたいな(笑)。実際に、キャストの中の誰か一人が今日やりにくそうに見えたりすると、みんなが「大丈夫?」と声をかけたり、障害の回避法を教えたりする、本当に団結力の強いカンパニーなんです。

--紗羅さんは映画『ニワトリ☆スター』(2018年春公開)でヒロイン役を務められてますが、そこでの経験は今回の舞台に何かをもたらしましたか。

『ニワトリ☆スター』はとても激しい映画で、あまり普通の感情ではない状態で撮影することが多かったんです。ヴァイオレンスだったり、怒りを瞬時に出すとか。とても勉強にはなりましたけど、今回の舞台の演技とはあまりに違いすぎるものでしたね。

--今回の経験をきっかけに、舞台での活動をより活発化してゆこうと思いますか。

今まで生きてきて演技などしたことのなかった私でしたが、30歳を過ぎて、こんなに人生が一変するとは思ってもみませんでした。今後については、もちろん素敵な話をいただければやってゆきたいとは思いますが、こういうのは出会いですからね。やりたいからできるというものでもないですし。そこは流れに身をまかせようかなと思ってます。

--日本のミュージカル界や演劇界、いろんな人材が求められますので、もっと声高にアピールすれば、いい話がより沢山来ると思いますが……(笑)。

ホントですか? わかった。発信していかないとね(笑)。舞台、もっともっとやりたいでーす!(笑)

取材・文=安藤光夫  写真撮影=中田智章

公演情報
ミュージカル『RENT』
 
<東京公演> ※公演終了
■日程:2017年7月2日(日)~8月6日(日)
■会場:シアタークリエ
 
<名古屋公演> ※公演終了
■日程:2017年8月10日(木) 
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール
 
<大阪公演> ※公演終了
■日程:2017年8月17日(木)~22日(火)
■会場:森ノ宮ピロティホール

 
<福岡公演>
■日程:2017年8月26日(土)・27日(日)
■会場:福岡市民会館
 
■脚本・歌詞・音楽:ジョナサン・ラーソン
■演出:マイケル・グライフ
■日本版リステージ:アンディ・セニョールJr.
■出演:
マーク:村井良大
ロジャー:堂珍嘉邦/ユナク(超新星)
ミミ:青野紗穂/ジェニファー
コリンズ:光永泰一朗
エンジェル:平間壮一/丘山晴己
モーリーン:上木彩矢/紗羅マリー
ジョアンヌ:宮本美季
ベニー:NALAW(CODE-V)
新井俊一、千葉直生、小林由佳、MARU、奈良木浚赫、岡本悠紀、長尾哲平(Swing)
■公式サイト:http://www.tohostage.com/rent2017/

 

【THE MUSICAL LOVERS】ミュージカル『アニー』【第15回】Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<前編>

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【THE MUSICAL LOVERS】
 Season 2 ミュージカル『アニー』
【第15回】Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<前編>

前回はこちら

ミュージカル『アニー』2017年夏のツアーも終盤へ近づく中、この作品の脚本を書いたトーマス・ミーハンが、2017年8月21日(アメリカ現地時間)に亡くなった。

『アニー』は1977年4月21日にアルヴィン・シアター(現在のニール・サイモン・シアター)でブロードウェイ初演され、その年のトニー賞作品賞を始め7部門を受賞。ミーハンは初脚本にして最優秀脚本賞を得た。ミーハンが脚本を書かなければ、私たちは今の形でミュージカル『アニー』に出会えなかった。謹んでご冥福をお祈り申し上げるとともに、お礼を言いたい。

ありがとう、トーマス・ミーハン!

さて今回は、映画の話である。ミーハンらがつくりあげたミュージカル『アニー』をベースにした、スクリーンの映画化は過去に2度行われている。

最初の映画化は、1982年に製作された『アニー』(監督:ジョン・ヒューストン。以下、<1982年版>)である。これこそが、筆者と『アニー』とのファースト・コンタクトだった。この映画がなかったら、現在の筆者はいない。まさか42歳になっても「アニーになりたい!」と思い続けるとは、想定外だったが……。

2度目の映画化は、2014年製作の『ANNIE』(日本公開は2015年。監督:ウィル・グラック。以下、<2014年リメイク版>)だ。ジェイ・Zやウィル・スミスらのプロデュースで作られた、こちらの<2014年リメイク版>は、時代背景を現代のニューヨークに置き換え、クヮヴェンジャネ・ウォレス(アニー役)、ジェイミー・フォックス(ウォーバックスを基にしたスタックス役)といった、アフリカ系アメリカ人をメインの役どころに据えるなど、旧来の『アニー』のイメージを大胆に塗り替えてみせた。この映画は今年(2017年)、ミュージカル『アニー』が新国立劇場で上演されている期間中に、日本テレビ系列で放送されたので、『アニー』に関心のある人々が多数視聴したのではないだろうか。

筆者にとって映画の『アニー』といえば35年前の<1982年版>だが 、いまや、おおかたの子どもたちにとって、初めて触れる『アニー』は、こちらの<2014年リメイク版>のほうになりつつある。

とある子ども曰く「1982年は、まだ生まれていません」……うん、そうだろうね。「お母さんも生まれていません」……Leapin' Lizards!! お母さん35歳以下!! <1982年版>はDVDを買うかレンタルしないと観られない上、そもそも存在を知らない子もいるだろうとは思っていたが、そうか、親御さんも生まれてなかったのね……。

ところで、その<2014年リメイク版>、旧作に馴染みのある人々にとっては今風すぎるキライが強かったかもしれない。しかし、実はなかなかどうして侮れない作りがなされている。

というのも、過去の各種『アニー』、主に
・1924年~2010年までニューヨーク・デイリーニューズで連載されたコミック・ストリップ『小さな孤児アニー』
・1977年にブロードウェイで発表され、現在も日本等で上演されているミュージカル『アニー』
・1982年製作版ミュージカル映画『アニー』(監督:ジョン・ヒューストン)=<1982年版>
・1999年製作版ディズニーによるテレビ映画『アニー』(監督:ロブ・マーシャル)
のパロディや小ネタが、オマージュとして各所に散りばめられているからだ。

しかも、そこにはミュージカル『アニー』がブロードウェイに上がるまでの製作過程を知らないと、わからない小ネタも含まれている(製作過程については、【第4回】【第7回】参照)。

さらに言えば、ニューヨークの地理を熟知してる前提でのセリフさえあった。しかもそれは、パンフレットや、DVDの監督音声解説にも触れられていない!(海外の観客に不親切すぎるぞ!!)

ならば、ということで、それらのトリビアを、今回から2回に渡って順を追って見てゆきたい。まず【前編】では、過去の『アニー』オマージュから解説しよう。今回のタイトルに使った「Leapin' Lizards!」についても、中盤で解説する。

■ ニセモノのアニーは、ホンモノのアニー!?

まず画面にいきなり映るのは、白人で赤毛の、いかにも、私たちが知っているアニーのルックスをしている少女だ。この映画の主役アニーは、黒人のクヮヴェンジャネ・ウォレスのはずでは……?

この、「ザ・アニー」そのものの子を演じているのは、テイラー・リチャードソン。2012年からニューヨークで上演されたブロードウェイ・リバイバル公演『アニー』オリジナルのダフィ役、そして2013年にオリジナルのアニー役リラ・クロフォード卒業以降はアニー役を演じた少女だ。<2014年リメイク版>には、ブロードウェイの舞台と同じカツラで登場している。

 
 

■ なんで「アニー・2」じゃないの?

<2014年リメイク版>にて、主役のクヮヴェンジャネ・ウォレスは、学校の先生から「アニー・B」と呼ばれている。さきほどのテイラー・リチャードソンが、「アニー・A」、あたかも主役のようだ。

というより、なんで「アニー・1」「アニー・2」じゃないの? と思う人もいるだろう。これは、かつて<1982年版>の続編として、1995年に『アニー2』というミュージカルテレビ映画が作られたけれど、それとは違うよ、ということであろう。(『アニー2』の詳細はここでは割愛する。)

「アニー・A」「アニー・B」とも黒板の前でパフォーマンスしているが、その黒板にはアメリカ合衆国歴代大統領の名前が並ぶ。その中に、ミュージカルのオリジナル・クリエイター陣(チャールズ・ストラウス、トーマス・ミーハン、マーティン・チャーニン)の名前が隠されている。これはウィル・グラック監督から彼らへの敬意である。

■ ドマーニ

そして、「アニー・B」こと、<2014年リメイク版>におけるホンモノのアニーは、人様のレンタサイクルを借りてニューヨークの街を走り、地下鉄に乗って「ドマーニ」というレストランにたどり着く。ドマーニとは、イタリア語で明日(Tomorrow)という意味。

さっそく開始10分程度で、過去の『アニー』へのオマージュが、こんなにたっぷり詰まっているというワケだ。

■「It's The Hard-Knock Life」に見られるオマージュ

「It's The Hard-Knock Life」でのパフォーマンスは、<1982年版>におけるアクロバティックなパフォーマンスを彷彿させる。そこにネズミ(mouse)が出てきて、ハニガンがつかまえるシーンがある。これは、ミュージカル『アニー』の舞台でもおなじみ、ケイトがハニガンにネズミ(mouse)を見せるシーンへのオマージュ。

ここでハニガンがネズミをつかまえたプラスチックケースが、のちにハニガンがアニーの「ニセ両親」を面接するシーンで、ポップコーン入れになっていることも記しておく。「え、不潔じゃない?」と筆者は思うが、ハニガンが子どもたちをドブネズミ(rat)と呼ぶことに注目して読み解いてみたい。ミッキーマウス、ミニーマウス、はたまたパソコンのマウスも、キャラクターや商品になるかわいいネズミは皆mouseなのだ。ハニガンにとってはratより、mouseのほうがよっぽど無害なのだろう。

■ PUNJAB HARLEM BUILDING SUPPLY

両親を探すアニーは、自分の個人情報を得ようと福祉局へ行ってみるものの、たいした情報も得られずハニガン宅に帰ろうとする。そこでいじめられている野良犬(サンディ)と出会うことは、もちろん『アニー』のフォーマットどおりなのだが、アニーが走っていて車に轢かれそうになる瞬間に注目だ。携帯電話会社CEOのスタックスが助ける。その瞬間、背後に映っている建物の名前を見てほしい。

「PUNJAB HARLEM BUILDING SUPPLY(プンジャブのハーレム建築資材店)」!

0:58のシーンにご注目
 

HARLEM(ハーレム)は、アフリカ系アメリカ人が多く居住する地域の名で、この映画のアニーもそこに住む。PUNJAB(プンジャブ)とは、コミック・ストリップ『小さな孤児アニー』および<1982年版>において、ウォーバックスのボディガードとして登場する人物だ。

そしてプンジャブの名前は覚えていてほしい。彼へのオマージュは、<2014年リメイク版>のラストシーンにも出てくるから!

■ スタックスの対抗馬は……

スタックスは、携帯電話会社のCEOでは飽き足らず、ニューヨーク市長選挙に立候補する。その対抗馬として出てくる現職市長の名前に注目してほしい。

「ハロルド・グレイ」! そう、ご存知、コミック・ストリップ『小さな孤児アニー』の作者の名前だ。出番が少ないわりにアクの強い喋りかたで、印象を残している。

■ アニーが観にゆく映画の主演は……

映画を観にゆくこと自体、ミュージカル版『アニー』における「ロキシー・シアターで映画を観ること」へのオマージュだろう。さらに主演2人の名前が載った看板にも注目してほしい。

アンドレア・アルヴィン
サイモン・グッドスピード

「アンドレア」「アルヴィン」「サイモン」「グッドスピード」、すべて過去の『アニー』に関係する言葉だ。

「アンドレア」=“アンドレア”・マッカードル(1977年ブロードウェイにて初演されたミュージカル『アニー』オリジナル・アニー/1999年のロブ・マーシャル監督によるディズニー・テレビ映画『アニー』において、「未来のスター」役もつとめている)
「アルヴィン」「サイモン」=ミュージカル『アニー』は1977年、“アルヴィン”・シアター(現在のニール・“サイモン”劇場)で初演された
「グッドスピード」=1976年8月10日、コネティカット州の“グッドスピード”・オペラ・ハウスで、ミュージカル『アニー』はお披露目された

これらの説明は、パンフレットや、DVDの監督音声解説にも入っていないが、当連載【第4回】【第7回】をお読みいただければ得心できると思う。

■「Opportunity」が歌われる場所

アニーが真っ赤なドレスを着て、<2014年リメイク版>のオリジナル曲「Opportunity」を歌うパーティー会場は、グッゲンハイム美術館。【第14回】でも紹介したとおり、グッゲンハイム=ウォーバックス邸の近く、という設定によるものと思われる。

■ スタックスの頭髪

<2014年リメイク版>、スタックスが実はカツラで、本当は禿頭だとアニーにバレるシーンがある。言わずもがなだが、コミック・ストリップ『小さな孤児アニー』以降のウォーバックスの禿頭設定に沿っている。

2017年の新演出版ミュージカル『アニー』のウォーバックスは禿頭ではなかったが、実はカツラ、という裏設定があったりするのだろうか?!

■ Leapin' Lizards!

さて、いよいよ今回のタイトルにも使用した「Leapin' Lizards!」。この語句が出てくるのは、「Easy Street」のシーン。

ルースター的な役割のガイがハニガンと歌っている。ガイはお調子者で自信まんまん、そして野心家だ。ガイはスタックスから時折「ガイオ」と呼ばれているが、DVDの監督音声解説によれば、それはイタリア語の「おんどり(gallo)」を意味する言葉と音が似ているからだそうだ。ルースターには、おんどり、そしてうぬぼれ屋という意味もある。ルースター的役割のガイも、それを踏襲しているのだ。

そして、彼らが歌う後ろに見えるドラムに書かれた文字(バンド名)。ここに注目だ! DVDをお持ちの方は一時停止して、目を凝らして確認してほしい。

The Leapin' Lizards

「Leapin' Lizards!」は、直訳すると「跳んでるトカゲ!」となるが、実際には「おったまげー!」「ウソみたい!」という意味で使用される慣用句だ。コミック・ストリップ『小さな孤児アニー』時代から、アニーの口癖である。原作コミックに慣れ親しんだアメリカ人にとって、アニーといえば「Leapin' Lizards!」というくらいおなじみの語句のようだ。

「Leapin' Lizards!」から始まるアニーのセリフ

「Leapin' Lizards!」から始まるアニーのセリフ

筆者所有「30th Anniversary Production」CDにも、「Leapin' Lizards!」の文字が!

筆者所有「30th Anniversary Production」CDにも、「Leapin' Lizards!」の文字が!

<1982年版>では、アニーと、アニーの口癖が移ったハニガンおよびウォーバックスが口にする。筆者がカウントしたところ、少なくとも次の6回は出てくる。

・1回目/2回目。グレースが孤児院にやって来る場面。ウォーバックス邸でクリスマス休暇を過ごす孤児に選ばれた瞬間に、アニーが「Leapin' Lizards!」、そしてハニガンが憎たらしそうにマネをして「Leapin' Lizards!」

・3回目。ウォーバックス邸に着き、プンジャブに会った瞬間にアニーが「Leapin' Lizards!」

・4回目。資本主義で成功したウォーバックス邸にBolshevik(ボリシェヴィキ=過激派左翼)が爆弾を投げ込む。サンディが気づき、プンジャブが投げ返す。この一連にアニーの口から思わず漏れる「Leapin' Lizards!」

・5回目。ホワイトハウスでローズベルト大統領に会うアニー。ローズベルト大統領はアニーに「公園の運営をしてくれないか」と言う。初対面の少女にいきなり仕事を頼むローズベルトにビックリだ。そして頼まれたアニーは、もちろん「Leapin' Lizards!」

・6回目。アニーが「ニセ両親」に連れ去られた。それを、孤児院を脱走してきた孤児たちから知らされたウォーバックスが叫ぶ「Leapin' Lizards!」

<1982年版>でアニー役をつとめたのはアイリーン・クイン。彼女は、アイリーン・クイン&Leapin' Lizards!というバンドで今なお活躍中だ。それを知ったときの筆者も思わず口にしてしまった。

「Leapin' Lizards!」

なお、舞台のミュージカル『アニー』には「Leapin' Lizards!」のセリフが何故か登場しない。その理由をトーマス・ミーハンに訊いてみたかった。

■ ヘリコプターで追いかける、プンジャブへのオマージュ

<2014年リメイク版>の終盤近く、スタックスがヘリコプターで「ニセ両親」とアニーの乗った車を追いかける。これは<1982年版>において、「ニセ両親」ことルースターとリリー、そしてハニガンの一味にさらわれたアニーの乗った車を、プンジャブがヘリコプターで追いかけるシーンのオマージュだ。

<2014年リメイク版>のフェンスを突き破る演出は、<1982年版>において、アニーがフェンスをすり抜けて逃げるシーンを踏まえてのことだろう。ハニガンが最終的に改心するのも、<1982年版>に共通している。

■ 「I Don't Need Anything But You」は、おなじみの足の上ダンス

「I Don't Need Anything But You」において、アニーがウォーバックスの足の甲に乗っかるダンス。日本での上演でも観ることができるおなじみのものだ。これがちゃんと、この<2014年リメイク版>振付に踏襲されているのは嬉しい。

■ 風船エンディング

<2014年リメイク版>において、最後に多数の風船が飛ぶ。これは<1982年版>のエンディングで、カラフルな風船がたくさん飛んでゆく演出へのオマージュだろう。ただしまったく同じにならないよう、<2014年リメイク版>では、赤色の風船だけに統一している。

■ 日本語吹替だけの、日本アニーへのオマージュ

さて、5月の日本テレビ系列での<2014年リメイク版>オンエアは、日本語吹替版だった。グレースの声は水野貴以。1995年、篠崎光正演出『アニー』のアニー役である。大人になって、グレース役で『アニー』に帰ってきてくれるとは!

吹替版について、もうひとつトリビアを。<2014年リメイク版>はニューヨーク市長選において、現職市長ハロルド・グレイの応援にマイケル・J・フォックスが出てくるが、この声を宮川一朗太が担当していた。宮川といえば、日本におけるマイケル・J・フォックス吹替俳優だ。

【後編】ではそういった、過去の『アニー』オマージュとはちょっと違う部分の解説をしてゆきたい。

次回につづく

参考文献:
・2014年製作・2015年日本公開映画『ANNIE』パンフレットおよびDVD(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)
・1982年製作映画『アニー』DVD(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)



<THE MUSICAL LOVERS ミュージカル『アニー』>
[第1回] あすは、アニーになろう 
[第2回] アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(前編) 
[第3回] アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(後編)
[第4回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その1>フーバービル~
[第5回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その2>閣僚はモブキャラにあらず! 
[第6回] アニーの情報戦略
[第7回] 『アニー』に「Tomorrow」はなかった?
[第8回] オープニングナンバーは●●●だった!
[第9回] 祝・復活 フーバービル! 新演出になったミュージカル『アニー』ゲネプロレポート
[第10回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その3>ラヂオの時間
[第11回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その4>飢えた人々を救え!
[第12回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その5>ウォーバックスにモデルがいた?
[第13回] ブラックすぎる!? 孤児院の実態
[第14回]ウォーバックスの財力と華麗なる元カノ遍歴

[第15回]Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<前編>
※上記のうち2017年4月21日以前の掲載内容は新演出版と異なる部分があります。
 
公演情報
丸美屋食品ミュージカル『アニー』
 
<東京公演>
■日程:2017年4月22日(土)~5月8日(月) ※公演終了
■会場:新国立劇場 中劇場

 
<大阪公演>
■日程:2017年8月10日(木)~15日(火)
※公演終了
■会場:シアター・ドラマシティ
 
<仙台公演>
■日程:2017年8月19日(土)~20日(日)
※公演終了
■会場:東京エレクトロンホール宮城
 
<名古屋公演>
■日程:2017年8月25日(金)~27日(日)
※公演終了
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール
 
<上田公演>
■日程:2017年9月3日(日)
■会場:サントミューゼ大ホール

 
■脚本:トーマス・ミーハン
■作曲:チャールズ・ストラウス
■作詞:マーティン・チャーニン
■翻訳:平田綾子
■演出:山田和也
■音楽監督:佐橋俊彦
■振付・ステージング:広崎うらん
■美術:二村周作
■照明:高見和義
■音響:山本浩一
■衣裳:朝月真次郎
■ヘアメイク:川端富生
■舞台監督:小林清隆・やまだてるお

 
■出演:
野村 里桜、会 百花(アニー役2名)
藤本 隆宏(ウォーバックス役)
マルシア(ハニガン役)
彩乃 かなみ(グレース役)
青柳 塁斗(ルースター役)
山本 紗也加(リリー役)
ほか

 
■主催・製作:日本テレビ放送網株式会社
■協賛:丸美屋食品工業株式会社
■公式サイト:http://www.ntv.co.jp/annie/​


 
■子供キャスト

<チーム・バケツ>
アニー役:野村 里桜(ノムラ リオ)
モリー役:小金 花奈(コガネ ハナ)
ケイト役:林 咲樂(ハヤシ サクラ)
テシー役:井上 碧(イノウエ アオイ)
ペパー役:小池 佑奈(コイケ ユウナ)
ジュライ役:笠井 日向(カサイ ヒナタ)
ダフィ役:宍野 凜々子(シシノ リリコ)
<チーム・モップ>
アニー役:会 百花(カイ モモカ)
モリー役:今村 貴空(イマムラ キア)
ケイト役:年友 紗良(トシトモ サラ)
テシー役:久慈 愛(クジ アイ)
ペパー役:吉田 天音(ヨシダ アマネ)
ジュライ役:相澤 絵里菜(アイザワ エリナ)
ダフィ役:野村 愛梨(ノムラ アイリ)

ダンスキッズ

<男性6名>

大川 正翔(オオカワ マサト)
大場 啓博(オオバ タカヒロ)
木下 湧仁(キノシタ ユウジン)
庄野 顕央(ショウノ アキヒサ)
菅井 理久(スガイ リク)
吉田 陽紀(ヨシダ ハルキ)

<女性10名>
今枝 桜(イマエダ サクラ)
笠原 希々花(カサハラ ノノカ)
加藤 希果(カトウ ノノカ)
久保田 遥(クボタ ハルカ)
永利優妃(ナガトシ ユメ)
筒井 ちひろ(ツツイ チヒロ)
生田目 麗(ナマタメ レイ)
古井 彩楽(フルイ サラ)
宮﨑 友海(ミヤザキ ユミ)
涌井 伶(ワクイ レイ)

丸美屋食品ミュージカル『アニー』2018年
アニー役・孤児役の募集要綱が出ました!

 
●アニー役・孤児役 応募対象
6才から15才(2017年10月28日現在において)までの女の子。 

 
●応募締切日
課題曲「Tomorrow」の動画送信、応募審査書類の郵送どちらも9月25日(月)必着。

 
●書類・動画通過者のオーディション 
2017年10月21日(土)か 22(日)どちらか 【1日間】:2017年10月28日(土)~29(日) 【2日間】 

 
●公演日程
東京:2018年4月21日(土)~5月7日(月)予定
その他地域:8月~9月頭予定
クリスマスコンサート:2017年12月22日(金)・23 日(土・祝)予定 
 
※ダンスキッズオーディションは11月に東京にて開催予定。募集案内発表は別途。上記オーディションと(合格者以外)併願可!
※詳細は公式サイト http://www.ntv.co.jp/annie/news/2017/09/2018-2.html参照

【THE MUSICAL LOVERS】ミュージカル『アニー』【第16回】Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<後編>

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【THE MUSICAL LOVERS】
 Season 2 ミュージカル『アニー』
【第16回】Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<後編>

前回はこちら

前回は、2014年製作・2015年日本公開映画『ANNIE』(以下、<2014年リメイク版>)における過去の『アニー』へのオマージュを解説したが、今回は<2014年リメイク版>における、オマージュとはちょっと違うけれど、思わず「Leapin' Lizards!(おったまげ~!)」と言いたくなるような、知っておくとよりいっそう楽しめるトリビアを解説する(なお、1982年製作版ミュージカル映画『アニー』は今回も<1982年版>と表記する)。

■楽曲カットの理由

<2014年リメイク版>は、時代設定を現代(2013年~2014年)にしている。そのため、1933年を背景として作られたオリジナルのミュージカル『アニー』のうち、時代(現代)に見合わない曲はカットされている。その一方で、追加された曲もある。「The City's Yours」「Opportunity」「Who Am I?」の3曲である。

<2014年リメイク版>公開時のパンフレットには、カットされた曲の解説がなかったので、ここで列記しておこう。

「We'd Like to Thank You, Herbert Hoover」(第一幕にて、フーバービルに住む人々が、ハーバート・フーバーへの不満を述べた曲:【第4回】参照 )

1933年の大恐慌時代の状況が、時代に合わないためカット。

「N.Y.C.」(第一幕、大富豪ウォーバックスが孤児アニーにニューヨークを徒歩で案内する曲)

<2014年リメイク版>においてウォーバックス的役割を担う、携帯電話会社CEOのスタックスは、ヘリコプターに乗って、アニーに自社の基地局を見せる、という話に変わった。そのため「N.Y.C.」はカットされ、代わりに新曲「The City's Yours」がスタックスによってヘリコプターで歌われる。

「You Won't Be An Orphan For Long」(第一幕最後、アニーの両親を何としても見つけ出す、と約束したウォーバックスらが歌う曲)

<2014年リメイク版>では、アニーは「孤児(orphan)」ではなく「里子(foster kid)」という名称になっているのでカット。ただし、同様に「orphan」の歌詞が含まれる「It's the Hard Knock Life」の場合、「No one cares for you a smidge, when you're in an orphanage」を「No one cares for you a bit, when you're a foster kid」と韻をそろえながら歌詞変更することで、曲はカットされなかった。

●ラジオ局のシーンでアニーが歌う「Maybe」の一節/ホワイトハウスでアニーと閣僚、ローズベルト大統領が歌う「Tomorrow」のリプライズ(第二幕)

いずれも、アニーが大勢の人の前で歌声を披露する、という場面だった。グッゲンハイム美術館でのパーティーで、大人たちに向かって歌った新曲「Opportunity」が、これに相当する曲と考えられるだろう。

「Something Was Missing」(第二幕、ウォーバックスが、アニーによって自分の空虚な心境が救われたことを歌う曲)

初号試写の段階ではカットされずに披露されたが、電車内で眠るアニーの横で歌うスタックスの哀しい雰囲気が不評だった。そのため、「仲のいいハッピーな2人を見せたい」と、映画の本公開の段階でカットになったという。そしてスタックスの心情は、新曲「Who Am I?」で歌われる。なお「Who Am I?」では、アニーおよびハニガンの、前に向かおうとする心境も歌われ、3人の気持ちが同時に表現された。

映画『ANNIE/アニー』クリップ“Who am I”

「(We Got)Annie」(第二幕、アニーがいよいよウォーバックスの養子になるか?! と期待される場面で、ウォーバックス邸で働く使用人たちがその喜びを歌う曲)

現代の富の象徴は無人のオートメーションであり、スタックス邸には「食事係」「お風呂係」「洋服係」といった人たちがいない。それゆえにカット。「I Think I'm Gonna Like It Here」も、同じ理由で大幅にアレンジされている。

「A New Deal For Christmas」(第二幕ラスト、アニーやウォーバックス、ローズベルト大統領によって「新しい価値」を歌う曲)

もともとこの曲は、(日本版歌詞には反映されていないが)ローズベルト大統領のニュー・ディール政策とかけた歌詞だ(【第5回】参照)。ゆえに時代背景と合わないため、カット。

「Little Girls」「Easy Street」も、アニーたちを世話するハニガンの人物設定が「C+C Music Factory」出身の元歌手になったことで大幅アレンジ。「You're Never Fully Dressed Without A Smile」(第二幕頭、ラジオ局のバート・ヒーリー&ボイラン・シスターズおよび、リスナーの孤児たちがそのマネをしながら歌う曲)は、アニーと孤児たちが、映画『ムーンクエイク・レイク』後のパーティーに呼ばれたときのバックミュージックで、シーアが歌っているバージョンに大幅アレンジ。また、歌詞中のオシャレのアイコンが、「Beau Brummelly」「Saville Row」から、「シャネル」「グッチ」になっている(【第10回】参照)。

■<2014年リメイク版>を読み解くキーワードは「地理」

<2014年リメイク版>では、学校の授業が終わったアニーが駆けてゆく中、「Overture」がかかる。掘削機、シャベル、足音、ドラックのドアを閉める音、クラクション、自転車のベルの音がかぶさってゆく(音楽スーパーバイザー:マット・サリヴァン)。

他人様のレンタサイクルを借りて、125丁目駅からトライベッカのレストラン「ドマーニ」へ走るアニー。そこからハーレム126丁目とセント・ニコラス・アベニューの角にある、デヴィッド・ザヤスが演じるルーのデリでバケツを借りて、目の前のハニガンの家(アパート)のはしごをよじ登る。

「Tomorrow」のロケ地は、レキシントン街と116丁目の角である。スタックスの家は、オープン前の新ワールド・トレード・センター、タワー4。

終盤近く、ヘリコプターと車のチェイスは、54丁目から57丁目、10番街からアップタウンのワシントン・ハイツへ、ワシントン・ブリッジを渡りニュージャージーのリバティ州立公園まで、というルートだ。

「I Don't Need Anything But You」は、自由の女神やエリス島、スタックスの住む新ワールド・トレード・センターが見える構図になっており、町も画面に彩りを添える。

そう、<2014年リメイク版>は、現代のニューヨークの「地理」がポイントになっている。

■アニーはスタックスとの上空飛行で、なぜ一瞬、顔が曇るのか?

「地理」がポイントとは言ったものの、<2014年リメイク版>のパンフレットやDVDの監督音声解説でも、基本的に「ロケ地はどこ」という説明しかない。だが<2014年リメイク版>には、ニューヨークの「地理」がわからないと理解できない会話がある。

携帯電話会社CEOのスタックスが、アニーを連れてヘリコプターに乗り、自社の基地局を見せるシーンがある。スタックスが「96丁目から先は行かない(基地局に力を入れていない)」と言った瞬間、アニーが一瞬、顔を暗くする。

96丁目は、スパニッシュ(イースト)ハーレムとアッパーイーストサイドの境界である。アニーが住んでいる地域はハーレム(110~155丁目)の126丁目に住んでいる。つまりアニーの住まいは、基地局に力を入れていない「96丁目から先」なのだ。

アニーは、同居する里子たちに「つながる携帯電話だよ」とスタックス・フォンを配った。「つながる、と言って渡した携帯電話が、つながらないんじゃないの?」と思って、一瞬顔を暗くしたのでは?と筆者は推測する。しかし、それを見逃さなかったからこそスタックスはその後「基地局を拡げよう」と秘書グレースに話すのだろう。

■「Opportunity」をくれる町・ニューヨーク

『アニー』では、登場人物の住んでいる場所が、本人の立場を示すひとつのアイコンとして機能している。

<2014年リメイク版>のアニーは、アフリカ系アメリカ人が多く居住する地区「ハーレム」に住んでいる。そこは今、かつてほどには貧しい地域ではなくなったが、それでも、アニーがスタックスの家に行くことになった際、ハーレムでデリを営むルーは「おめでとう、この町を抜け出せて」とアニーに言った。

一方、舞台版のミュージカル『アニー』において、ウォーバックスは「5番街987番地」に住んでいた。「5番街」に住んでいると聞けば、すなわちアッパー・イースト・サイドの高級住宅街であり、すぐに「お金持ち」と結びつく。

<2014年リメイク版>におけるウォーバックス的役割のスタックスは、ウォール街を擁するロウアー・マンハッタンにある「新ワールド・トレード・センター」に住んでいる。現代において、新たな発展と再生を象徴する場所だ。

とはいえウォーバックスもスタックスも、最初から、そこの出身だったわけではない。

ウォーバックスは自分が「ヘルズ・キッチン」出身だったことをアニーに明かした。かつてそこはギャング団の巣食う、最も治安の悪い地域だった。「アメリカ大陸でもっとも危険な地域」とさえ言われた。

スタックスもまた、貧しかった子ども時代の話をアニーにするために、「クイーンズ(ロケ地はブルックリンのシープスヘッド・ベイ)」の高架線下に連れてゆく。スタックスは、自分の父親がこの高架を1日20時間作り続けて過労死したと話す。

だがウォーバックスもスタックスも、いわゆる「成金」で、成功に沿って大きな家を持つようになった。スタックスは言う。「がむしゃらに働けば誰にでも好機があるのが、ニューヨークだ」。

アニーも、「スタックスさんは私に大きな好機をくれた」と、グッゲンハイム美術館でのパーティーで「Opportunity」を歌って返す。それは「好機」という意味だ。「Opportunity」をくれる希望の町、それがニューヨークなのだ。

■字が読めないアニー

そのパーティーで、アニーが字が読めないということを知ったスタックス。だが<2014年リメイク版>では、このパーティーまでの間に、そのヒントが出てきていた。

アニーが授業で作文を書かず「頭の中にある」と言い張ったこと、里子たちに両親からの手紙を読んでとせがまれたとき、目線は手紙を見ていないこと、自分の個人情報を得ようと福祉局へ行ってみた際、その場で結果を読んでもらっていたこと。

だが、これらのヒントで「アニーは字が読めない」と誰しもが気づけるのだろうか。

アニーはスタックスに言う。「名前が書けるのはカモフラージュ。学校の先生にはごまかしてきた。里子はただでさえやっかいな存在、それに恥ずかしかった」だからハニガンに打ち明けられなかった、と。

親に勉強をみてもらうこともできず、社会に置き去りにされたアニーに、12歳で父親を亡くして以来、人を拒絶してでもがむしゃらに働いてきたスタックスが動く。アニーを特別視するのではなく、社会の子ども全体のために動こうとする。

ニューヨーク市長選のイメージアップのためにアニーと暮らしてきたスタックスは、市長選出馬を取り消した。代わりに、すべてのニューヨークの子どものため、「スタックス・リテラシー(識字)・センター」を設立した。読み書きができる、ということは、底辺から抜け出す、最大の「Opportunity」となるだろうから。

ここでひとつ補足。「里子(foster kid)はただでさえやっかい」とアニーが言うが、最初、スタックスも、スタックスの元で働くガイも、アニーのことを「孤児(orphan)」と呼ぶ。アニーはその都度「里子(foster kid)」だと言い返す。

ガイにいたっては、出迎え文句が「小さな孤児アニー!(Little Orphan Annie!)」である。もちろん、ここはハロルド・グレイ『小さな孤児アニー(Little Orphan Annie)』へのオマージュなのだが……。

アニーはスタックスに「(里子と食事をして市長選の支持率が上がるなら)一緒に住めば大統領ね」と言い、ガイがそれに乗る。その時「簡単よ、食べ物とベッドだけで週に157ドル入る」と言うように、里子とは経済的に援助されている子どもであって、法的な親子関係はない。

アニーにしてみれば、両親が戻るまで経済的に援助されているだけで、別に本当の両親はいるのだ、ということだ。スタックスと一緒に住むことになったアニーに、記者が尋ねる。「スタックスがあなたを養子にする、ということですか?(He is going to adopt you?)」と。するとアニーは「違う違う違う、両親はいるの(No, no, no, I HAVE parents.)」と答える。養子(adopted child)になってしまっては、スタックスに親権が発生してしまう。だからアニーは否定しているのだ。

■アニー役は、ウィル・スミスの娘のはずだった?!

「子どもは細菌だらけ!!(Kids with germs!!)」が口癖で、いつも大量に除菌ジェルを持ち歩いているほどに、子ども嫌い・人嫌いだったスタックス。そんなスタックスも心の空虚さに気づき、アニーや秘書グレースを愛するようになる。何でも持っているはずのお金持ちが、ファミリーを得てゆくというのは、『アニー』のフォーマットでもある。

さて、<2014年リメイク版>のメイン・プロデューサーは、ジェイ・Zと、ウィル・スミス&ジェイダ・ピンケット=スミス夫妻である。

主役アニーもスミス夫妻の娘であるウィロー・スミスが演じる予定だったそうだ。ただしウィローは成長しすぎてしまったため降板となり、代わりにクヮヴェンジャネ・ウォレスがアニー役となった。

製作は、ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズと、オーバーブック・エンターテインメント。オーバーブックの設立者はウィル・スミス。

Leapin' Lizards!

もしウィローが演じていたら、完全にスミス・ファミリーの映画である。ファミリーを得てゆく話どころか、最初からファミリー・ミュージカルになるところだったのだ。筆者も「アニーになりたい」ではなく、「スミス夫妻の子になりたい」と思っていたことだろう。

ただし監督のウィル・グラックは、ファミリーを映画に出すことが大好きな人なのだ。DVDの監督音声解説によれば、さしあたってグラック監督のファミリーが3人出演している。

まず、アニーがサンディを連れているところに、「私たちと一緒に写真を撮って」と寄って来る女の子と、撮ってもらってバク転する女の子は、グラック監督の娘たちだ(「Girl flipsover Annie, Gets Selfie」の見出しで「TRENDING NOW IN NEWS」に写っている2人)。

そもそも、<2014年リメイク版>開始直後、アニーがレストラン「ドマーニ」の前で路上にチョークで絵を描いているが、これはグラック監督の娘が現場に来て描いたものだそうだ。

そしてグッゲンハイム美術館の館長のおじさんは、グラック監督の父親。

Leapin' Lizards!

撮影現場には、グラック監督の娘たちはもちろん、スタックス役ジェイミー・フォックスの娘、クワベンジャネのきょうだい等が来ており、いつも子どもたちのいる明るい家庭的な現場だったとのこと。他のクルーの子どもたちも映画館での観客役で映画に映り込んでいるそうだ。

グラック監督は「ファミリーが来られる現場じゃなくっちゃ」という考えだそうだが、筆者も「グラック監督の娘だったら、<2014年リメイク版>に出られたのか~」と、羨望を隠し切れない思いだ。

さてスミス夫妻の娘がアニー役を降板後、クヮヴェンジャネがどうやってアニー役に選ばれたのだろうか? アニーになりたい筆者としては最大の関心事だ。

<2014年リメイク版>パンフレットの彼女の言葉によれば「オファーがあった」ということなので、特にオーディションというわけではなかったようだ。

ちなみに<1982年版>アニー役、アイリーン・クインはオーディションで選ばれている。こちらの記事によれば、アニー役オーディションでは、ドリュー・バリモア(後のハリウッド・スター)やクリスティン・チェナウス(後のブロードウェイミュージカル・スター)ら8,000人をはねのけてアイリーンが主役の座を獲得したそうだ。

なお、クリスティン・チェナウスは、ロブ・マーシャル監督のテレビ映画『アニー』(1999年)に、リリー役で出演している。

アイリーンがアニーに選ばれた秘話については、<1982年版>DVDに特典映像があり、大人になった本人がその秘話を話すコーナーもある。「Leapin' Lizards!」と言いたくなるような当時の貴重映像も入っているので、アニーファンは必見だ!

■ブロードウェイと<2014年リメイク版>、ドッグトレーナーは同じ!

DVDの監督音声解説によれば、<2014年リメイク版>サンディのドッグトレーナーはビル・ベルローニ。なんと彼は、1977年オリジナル・ブロードウェイ『アニー』のサンディのトレーナーでもあるのだそうだ。1970年代初めまで、犬の役は、犬の扮装をした人間が演じていたのだが、やはり本物を……ということになり、若き俳優の卵・ビルが犬探しを命じられた。

ただ、誰にも犬の訓練は経験がなく、ビルが保護犬を訓練。彼は俳優を辞めてドッグトレーナーになり、<2014年リメイク版>のサンディもドッグシェルターで見つけて訓練してくれたそうだ。

ところで<2014年リメイク版>では、サンディが保護されているシェルターに、この映画の重要人物が働いている。<2014年リメイク版>の楽曲を担当するシンガー・ソングライターのシーアだ。彼女は、音楽プロデューサーのグレッグ・カースティンと共に、<2014年リメイク版>ナンバーのアレンジと、新曲3曲の創作を手掛けている。

玉ねぎヘア、黄色いエプロンで犬を抱いている女性がシーアだ。シーア自身が表に出ることはめったにないそうなので、レアな映像である。シーアは『アニー』を「約150回は観た」というほどの愛好家だから、シーア、推せる……!

■夢は、かなう?! かなわない!?

ハニガンに掃除を言いつけられた里子たちが言う。「私、夢の中で、ホンモノの氷の上でスケートしてた」「憧れるわ、無制限のカードで買い物」「アメ玉の海」「ロケットで月旅行」

これらはかなわない夢として語られるが、アニーが映画『ムーンクエイク・レイク』のパーティーに里子たちを招待すると、そこにはホンモノの氷のスケート場、大量のアメ玉が! 会場を走る乗り物も、「月に行くロケット」という設定で、無制限のカードで買い物をしたような贅沢な空間がつくられている。

映画『MoonQuake Lake』trailler

本来はここで、「ね、夢はかなうでしょ?」というアニーのセリフがあったそうだが、カットしたそうだ。まあ、スタックスのお金でやったことを、アニーが「ね?」と言うのもどうかと思うので、カットして正解だろう。

■配給・ソニー系会社ならではの「C+C Music Factory」

スタックスによってかなえられた里子たちの夢。一方、ハニガンの夢はといえば、「もう一度、第一線の歌手に戻ること」。<2014年リメイク版>では、ハニガンが「C+C Music Factory」出身の元歌手という設定になっている。それは説明のセリフ、家に飾られまくった写真、「Little Girls」の歌詞など、折に触れ表現されていた。

<2014年リメイク版>におけるルースター的な役割であるガイによる、「ニセ両親」にアニーを渡す悪だくみに、ハニガンは乗ろうとする。が、「アニーが貴女の歌に心から感動した、励まされたそうだ」とスタックスから聞かされたハニガンは、改心の行動に出る。それだけでは終わらない。ハニガンの夢は加速する。ラスト近く、アニーとスタックス、そしてスタックスの秘書グレースが歌う「I Don't Need Anything But You」に、突然入り込んで来るハニガン。

映画『ANNIE/アニー』楽曲クリップ“I don’t need anything but you

「♪Everybody Dance Now!」

C+C Music Factoryヒット曲「Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now) 」の一節! さらには、エンディングで「Tomorrow」の〆を気持ちよさそうに歌い上げるハニガン!

そして、日本で公開された吹替版は、Flowerによる「TOMORROW ~しあわせの法則~」が、字幕版は平井堅による「Tomorrow」がエンドロールに流れる。両者ともソニーミュージック所属の歌手である。

Flower 『TOMORROW ~しあわせの法則~』

そして無論、C+C Music Factoryもソニーミュージック所属なのである。<2014年リメイク版>は、配給・コロンビアピクチャーズ(ソニーカンパニー)である。ソニーミュージックの強烈な印象を残して、映画は終わる。

■アニーの「ニセ母」こそ、歌えるキャストである!

ハニガン役を演じたのは、キャメロン・ディアス。歌手というワケではなくとも歌声を披露してくれたが、<2014年リメイク版>では、絶対に歌うと期待したキャストが歌わなかった。

それはアニーの「ニセ母」だ。彼女はトレイシー・トムズ。映画『RENT』のジョアン・ジェファーソン役(モーリーンの新恋人の弁護士)でミュージカルファンにおなじみのブロードウェイ女優だ。

他のアニー「ニセ両親」オーディション受験者は歌っていたし、「トレイシーもどこかで歌うかな~」とワクワクしていたら、一切歌わなくてビックリである。何のための歌える女優のキャスティングだったのだろうか?!

■現代のFBIは、携帯電話会社!

ハニガンに思いを寄せる男、というのは、『アニー』おなじみのフォーマットだ。ミュージカルの舞台では、洗濯屋バンドルズが担う(ただし2017年新演出版では、この設定ではなかったが……)。<2014年リメイク版>では、ハーレムでデリを営むルーがその役割だ。

ルーは、アニーからスタックス・フォンをプレゼントされるが、こうつっぱねる。「個人情報を抜かれて大企業に人生を支配されるから、要らない!」

これはルーの杞憂ではない。その後アニーは、スタックスの元で働くナッシュ(いい人)に、スタックス・フォンのコントロール・センターに連れて行ってもらう。「電話でスパイできる?」と聞くアニーに、ナッシュは「過去20年の通話やデータ通信を追跡できる」と言う。

ミュージカルの舞台と違って、<2014年リメイク版>では、アニーの苗字は初めから判明している。アニーの苗字「ベネット」で職員に探させるナッシュ。すると瞬時に「ベネット」に関する通話データが出た。ナッシュは言う。「人が恐れるべきは、政府ではなく携帯会社さ(People shouldn't be scared of governments. They should be scared of cell phone companies.)」

なんだか、ローズベルト大統領の名言「我々が恐れなければならないのは、恐れそのもの(The only thing we have to fear is fear itself.)」みたいでカッコいいが、よく考えると言っていることはコワい。

さてミュージカル『アニー』の舞台では、アニーの両親はFBIによって捜索された。<2014年リメイク版>では、「本当の両親」探しは行われず、「ニセ両親」にさらわれたアニーを探すためにFBIや警察が動く。しかし最終的にアニーの居場所を特定したのは、アニーを見かけた人がツイッターでつぶやいた写真や位置情報だった。

ちょうど<2014年リメイク版>が日本公開の頃に出た携帯アプリ『ANNIE』が、Facebookと連動させないとテコでも動かない仕組みだった。この時から、すでに個人情報を収集されている感いっぱい、「現代のFBIは、携帯電話会社だ!」とは、うすうす感づいてはいたが……。

■<2014年リメイク版>の細かい仕掛け

<2014年リメイク版>には他にも細かい仕掛けがいっぱいだ。ミュージカル『アニー』の舞台でも、ウォーバックス邸の壁の絵がどんどん変わってゆくが、<2014年リメイク版>のスタックス邸でも、アニーが来て以来、バスキアの絵が犬の動画に変わっている。アニーの「ニセ両親」が来ると、いつも出る噴水の水が出ない上にサンディが騒ぎ出す。アニーからの目線のときには、カメラの位置が下がっている、等々。

観れば観るほど、「Leapin' Lizards!」なトリビアが見つかる。それが<2014年リメイク版>なのだ。観直す際には、自分だけのトリビアを探してみるのもオススメである。

次回につづく

参考資料:
・2014年製作・2015年日本公開映画『ANNIE』パンフレットおよびDVD(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)
・1982年製作映画『アニー』DVD(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)



<THE MUSICAL LOVERS ミュージカル『アニー』>
[第1回] あすは、アニーになろう 
[第2回] アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(前編) 
[第3回] アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(後編)
[第4回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その1>フーバービル~
[第5回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その2>閣僚はモブキャラにあらず! 
[第6回] アニーの情報戦略
[第7回] 『アニー』に「Tomorrow」はなかった?
[第8回] オープニングナンバーは●●●だった!
[第9回] 祝・復活 フーバービル! 新演出になったミュージカル『アニー』ゲネプロレポート
[第10回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その3>ラヂオの時間
[第11回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その4>飢えた人々を救え!
[第12回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その5>ウォーバックスにモデルがいた?
[第13回] ブラックすぎる!? 孤児院の実態
[第14回]ウォーバックスの財力と華麗なる元カノ遍歴
[第15回]Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<前編>
[第16回]Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<後編>
※上記のうち2017年4月21日以前の掲載内容は新演出版と異なる部分があります。
 
公演情報
アニークリスマスコンサート2017


丸美屋食品ミュージカル「アニー」クリスマスコンサート2017
人気ミュージカル『アニー』から誕生したクリスマスコンサート。
今年も「トゥモロー」や「ハードノックライフ」などアニーでおなじみの楽曲と
クリスマスソングを素敵なゲストと共にお届けします。 
タップキッズも特別に復活!! 新旧アニーズのハーモニーをお楽しみに!
■構成・演出: 小川 美也子
■出演予定: 
藤本 隆宏 / 彩乃 かなみ
2016年/2017年/2018年アニー&アニーズ

 
■会場:新国立劇場 中劇場 (京王新線・初台駅)
■日時:
2017年12月22日(金)18:00開演
2017年12月23日(土・祝)12:00/15:00/18:00開演
開場は開演時間の各30分前
■席種・料金:全席指定:6,900円(税込)
■チケット一般発売:2017年10月21日(土)
※4歳未満のお子様のご入場はできません。
※チケットはお一人様1枚必要。
■公式サイト:http://www.ntv.co.jp/annie/news/2017/10/2017-13.html


丸美屋食品ミュージカル『アニー』2018年
東京:2018年4月21日(土)~5月7日(月)予定
その他地域:8月~9月頭予定

■公式サイト:http://www.ntv.co.jp/annie/

ブロードウェイの実力派俳優&ダンサーが極上のパフォーマンスを魅せる!『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』会見レポート

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2017年10月7日(土)から9日(月・祝)まで、東京・東急シアターオーブにて、ワールド・ミュージカル・コンサート『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』が上演される。本公演は、東急シアターオーブ5周年を記念して催されるコンサート。本劇場が世界で活躍するミュージカル・スターを日本に招聘し、名曲の数々を披露する貴重な機会となっている。今年の公演のリハーサルの模様が一部公開され、併せてキャストによる取材会が行われた。

今回来日した俳優は、アール・カーペンター(『レ・ミゼラブル』ジャベール役ほか)、シボーン・ディロン(『サンセット大通り』ベティー役ほか)、ウィレマイン・フェルカイック(『ウィキッド』エルファバ役ほか)、エリック・クーンジー(『ミス・サイゴン』クリス役ほか)の4人。

『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』

『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』

リハーサルでは、ミュージカル『スモーキー・ジョーズ・カフェ』のナンバーから「オン・ブロードウェイ」が披露された。生バンドの伴奏にあわせ、シボーンとウィレマインが主旋律を歌い始めると、アールとエリックがコーラス部分を歌う。そのうち、男性陣が主旋律、女性陣がコーラスへと入れ替わり、徐々に4人が入り乱れてサビではまるでミニライブのような盛り上がりとなった。伸びのある高音、そして安定感のある中低音を駆使しながら、身体全体を使って伸びやかに歌い上げる4人の姿は、たった一曲だけでもその実力の高さを窺い知れるものだった。

『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』

『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』

『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』

『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』

リハーサルの後に行われた取材会では、シンガーの4人に加え、ダンサーのジェイミー・ヴェレイジン、ダニエル・ゲイモン、ミシェル・カマヤ、コルビー・リンデマンも出席して行われた。

初顔合わせのメンバーによるリハーサルの様子を伺うと、ウィレマインは「本当にすばらしいキャストたちなんです。歌いだすと瞬時に綺麗なハーモニーに入れるんです。本当に天にも昇るような気持ちです」と真っ先に感想を述べた。

ウィレマイン・フェルカイック

ウィレマイン・フェルカイック

シボーンは「今回声域が近いメンバーと共演するんです。音域が近いと本当は音を取るのが難しくなるのですが、逆にうまくハマるとものすごく美しいハーモニーを作ることができるんです。今回のコンサートは短期間での準備となりいろいろ大変ですが、ステージに立ったら私たち自身が興奮状態になるような素晴らしいものが作れると確認しています」と胸を張った。

シボーン・ディロン

シボーン・ディロン

エリックも4人のハーモニーについて、「難しいハーモニーを集中して作り上げていますが、これを本番で歌うのが本当に楽しみですね」とコメント。

エリック・クーンジー

エリック・クーンジー

アールは「普段、プリンシパルとして一人で歌うことが多いので、こうやって大勢で歌うことが楽しいです」と話した出したが、「一人で歌ってないから少しくらいミスしてもごまかせるかな?(笑)」と冗談を口にすると、すかさず他のメンバーから「こらこら!」と笑いながら突っ込まれていた。

アール・カーペンター

アール・カーペンター

今回はブロードウェイで活躍中、2017年4月に開幕した新作『バンドスタンド』のアソシエーション・コリオグラファーを務めるマーク・スチュアートを演出・振付に招き、これまで以上にショーアップしたコンサートを作るという。

ダンサーチームのジェイミーはこのことにも触れ、「最高中の最高よ!アメリカでもトップレベルのダンサー、パフォーマー、シンガーが集まっているんですから!さらにマークや日本の一流のスタッフも加わっているし、遊びのような楽しい時間となるでしょう」と興奮気味に語った。

ジェイミー・ヴェレイジン

ジェイミー・ヴェレイジン

同じくダンサーのダニエルは「今回いろんなジャンルのダンスをお見せできるのが自分にとっても嬉しいですね。スウィング、タンゴ……などなど。素晴らしいものをお見せできると思います。あと、マークにすばらしい振付をつけてもらえるのも嬉しいです。多様性は大事。人生でもね。それが詰まっているコンサートとなるでしょう」と見どころに触れた。

ダニエル・ゲイモン

ダニエル・ゲイモン

今回のコンサートに日本からのスペシャルゲストとして、中川晃教、石井一孝、龍真咲が日替わりで出演する。3人の印象について、ウィレマインは「大好きです!素晴らしい方々です。皆さんとリハーサルをしましたが、美しい魅力的な歌い方で、人柄もよくて。この共演が素晴らしい経験となると思います。観にいらっしゃるお客様の反応も楽しみですね」と語った。この言葉に続いてアールも「このコンサートは、文化の融合の場であることも重要だなと感じています。違う文化を持つお互いが学び合うことも多いんじゃないかな?」と口を揃えて日本のアーティストたちとの“競演”を楽しみにしていた。

ちなみに、初めて日本に来たメンバーに日本の感想を伺うと、エリックは「東京という街は狭くて密度が高いのにも関わらず、こんなに秩序が守られているのが驚きでした。別世界に来たようです」、ダニエルは「いろいろなところにケアが行き届いているし、皆さんとても親切。質問したらすぐ答えてくれるし。あと、日本から発信される“想像力”……子どもの頃、よくTVアニメを観ていたんですが、それはこの国、この都市から生まれたんだなあ、と実感しましたね」と語った。

この取材会では比較的言葉少なめだったコルビーは、同じ質問を振られると突然「僕は(犬の)コーギーの大ファンなんですが、日本の方もコーギーが好きだということが嬉しかったです!」と力説し他メンバーが大笑いする一幕も。「それはさておき(笑)、お互いを尊重し合って暮らしているのが心あたたまりますね」と改めて笑顔で日本の印象をコメントしていた。

コルビー・リンデマン

コルビー・リンデマン

なお、2回目の来日となるミシェルは「ショーを作ることが最優先ですが、それが落ち着いたらキュートな街・原宿にでも行こうかな?初めて日本に来たダニエルとコルビーを連れて私がツアーガイドになっていきたいと思います。そう言いつつ私が道に迷わないように気を付けますね」と両脇のダニエルとコルビーの腕をつかんでいた。

ミシェル・カマヤ

ミシェル・カマヤ

最後に取材会の様子を眺めていたマークが呼び込まれ、一言ご挨拶。「素晴らしいキャストが集結し、個々のパフォーマンスが融合し、その相乗効果で今まで見たことのないステージになると思います。そしてそれをお見せできると確信しています」と力強く語っていた。

マーク・スチュアート

マーク・スチュアート

取材・文・撮影=こむらさき

公演情報
ワールド・ミュージカル・コンサート『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』
日時:2017年10月7日(土)18時、8日(日)14時、9日(月・祝)14時
会場:東急シアターオーブ
演出・振付:マーク・スチュアート
出演:
アール・カーペンター、シボーン・ディロン、ウィレマイン・フェルカイック、エリック・クーンジー
ダンサー:MARK STUART DANCE THEATRE(ジェイミー・ヴェレイジン、ダニエル・ゲイモン、ミシェル・カマヤ、コルビー・リンデマン)

スペシャルゲスト:10月7日(土)中川晃教/8日(日)石井一孝/9日(月・祝)龍真咲

■公式サイト:http://theatre-orb.com/lineup/wmcs/​

日本映画史上初!ブロードウェイ・ミュージカルの映画館上映、『ホリデイ・イン』が11/10から5日間限定公開

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ニューヨークのブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』が、いよいよ2017年11月10日(金)より5日間限定で東銀座・東劇で上映される。ブロードウェイ上演ミュージカルが映画館で上映されるのは、日本映画史上初のことである。

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

『ホリデイ・イン』は、ビング・クロスビーとフレッド・アステアが主演した1942年の同名ミュージカル映画((邦題:『スイング・ホテル』)を、ゴードン・グリーンバーグとチャド・ホッジが執筆した新たな脚本で、ブロードウェイの舞台に蘇らせたミュージカル舞台作品だ。いまや誰もが知るクリスマス・ソング「ホワイト・クリスマス」は、元々このミュージカル映画のナンバーとして作られた。オリジナルの作詞作曲を手がけたアーヴィング・バーリンは、『Top Hat』『アニーよ銃をとれ』など数々のミュージカル映画や舞台を手がけた天才音楽家として知られる。今回の舞台は、ラウンドアバウト・シアター・カンパニーの製作により、2016年10月から2017年1月までニューヨークのStudio 54でブロードウェイ上演された。「第71回トニー賞」で振付賞にノミネートされるなど好評を博した。

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

現代の演劇、ミュージカルの本場はやはりニューヨークのブロードウェイ。しかし、ニューヨークへ足を運ぶ事はそう簡単なことではない。そこで、手頃な価格でゆったりと本場ブロードウェイの舞台を映画館で楽しめるようにしたい―そんなコンセプトから誕生したのが、「松竹ブロードウェイシネマ」だ。松竹は映画や歌舞伎・演劇、その他沢山のエンターテイメントを扱っている、いわば「総合芸術」な会社。だからこそ映画と舞台の融合を目指すのは当然のことだった。今回、ブロードウェイの名作を世界中の映画館に届けるというミッションに全力を注ぎ、過去に『She Loves Me』の映画館配信(日本では未公開)を成功させた実績を持つBroadwayHDと組んで、ブロードウェイ・ミュージカルを日本映画史上初めて映画館上映させることを実現させた。

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

本上映は、最高の音響と画質で、まるで劇場の最前列で観てる(あるいはそれ以上の)ような感覚で鑑賞することができる。内容は、往年のミュージカル黄金時代の醍醐味を懐かしさと共に味わえる傑作。作品の為に作られたブロードウェイの永遠の名曲であり、誰もが知っている「ホワイト・クリスマス」はじめ、アーヴィング・バーリンの名曲をふんだんに楽しめる。ミュージカルファンならば、この5日間限定の貴重なチャンスを見逃すべきではないだろう。

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹


【ストーリー】

「愛に生きるか夢にいきるかこの物語で決めて下さい」─夢をとるか愛する人を選ぶか、ジム、リンダ、テッドの恋の行方はいかに!?

ジムは華やかなショー・ビジネスを引退し、コネティカット州の農場で暮らすことにする。しかし、歌やダンスのない生活は以前とは全く違うものだった。そんな時、幸運にもリンダという才能あふれる活発な学校教師と出会い、ジムの人生は一変する。2人は農場の家を立派なホテルに改築し、11月の感謝祭から 7月4日の独立記念日まで、祝日ごとに華麗なショーを繰り広げる。しかし、そこへジムの親友テッドが現れる。ダンスの新たなパートナーとしてリンダに目を付けたテッドは、彼女にハリウッド行きを持ちかける。果たして、ジムの新たな恋の行方はいかに?


ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』 ©BroadwayHD/Joan Marcus Photography/松竹

アーヴィング・バーリン(1888年5月11日 - 1989年9月22日):ベラルーシ生まれのアメリカの作曲家・作詞家。正式な音楽教育を受けた事はなく、半世紀の音楽活動で沢山の優れたポピュラー・ソングを作詞・作曲し、ジョージ・ガーシュウィンから「アメリカのシューベルト」と言われた人物である。有名な代表曲に「ホワイト・クリスマス」「ゴッド・ブレス・アメリカ」「イースター・パレード(英語版)」「ショーほど素敵な商売はない」等がある。1935 年には代表作の中の 1 つである『トップハット』が大ヒットし、『スイング・ホテル』(1942年)では、映画内の歌『ホワイト・クリスマス』の作詞・作曲でアカデミー歌曲賞を受賞し、当時黄金時代を誇っていたハリウッドを代表する映画音楽家ともなった。『ホワイト・クリスマス』はクリスマス・ソングの代表的テーマソングとして多くの歌手によって現在に至るまでカバーをされ、史上最もヒットした歌曲の一つとしてあまりにも著名である。1968年にはグラミー賞の生涯功労賞を受賞し、1989年に100 歳を超える高齢で死去した。死後にその栄誉を称え記念切手が発行された。生涯に作詞した楽曲の数は3,000 以上、17 の映画音楽と 21 のブロードウェイ・ミュージカルを世に贈り出している。

ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』予告編


 
上映情報
ブロードウェイ・ミュージカル『ホリデイ・イン』
オリジナルの名曲「ホワイト・クリスマス」を含むラウンドアバウト・シアター・カンパニー公演
アーヴィング・バーリン新作ミュージカル『Irving Berlin's Holiday Inn The Broadway Musical』(原題)

■上映日程:11月10日(金)より限定5日間特別公開
■上映劇場:東劇(東京・東銀座)
■出演:
ジム:ブライス・ピンカム
テッド:コービン・ブルー
リンダ:ローラ・リー・ゲイヤー
ルイーズ:ミーガン・ローレンス
ダニー:ダニー・ルティリアーノ
ライラ・ディクソン:ミーガン・シコラ
チャーリー・ウィンスロー:モーガン・ガオ
■音楽&作詞:アーヴィング・バーリン
■演出&脚本:ゴードン・グリーンバーグ
■脚本:チャド・ホッジ
■振付:デニス・ジョーンズ
■美術デザイン:アナ・ルイゾス
■衣装デザイン:アレーホ・ヴィエッティ
■音楽スーパーバイザー/音楽監督/指揮:アンディ・アインホーン
■ヴォーカル・ダンスアレンジ:サム・デイヴィス
■プロダクション・ステージ・マネージャー:マイケル・J・パッサロ
■ステージ・マネージャー:パット・ソスノウ
■配給:松竹〈日本/2017/16:9/122 分/5.1ch〉日本語字幕スーパー版

■公式アカウント: https://www.instagram.com/shochikucinema/
■東劇公式サイト:https://www.smt-cinema.com/site/togeki/
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